全国に60店舗以上展開する「スープストックトーキョー」が“離乳食無料提供”を発表した。一部店舗では先駆けて実施していたが、4月25日から全店舗が対象になるという。
【映像】「離乳食無料」4月25日から全店舗で 公式のお知らせ(画像あり)
この発表にTwitterでは「また独り身の居場所が奪われてしまう」「子どもが苦手なので、しばらく行くのをやめる」などの声が殺到。論争から見えてきたのは、子育て世帯とシングルライフを楽しむ人との軋轢だ。
子育て世帯とシングルライフを楽しむ人、両方に配慮したサービスは難しいのか。ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した、ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は「独り身で『子供がいても全然大丈夫』という人もたくさんいる。独り身で心の狭い人が、文句を言っているだけだ。そういう人は、自分でスープストックではない居場所を探せばいいのではないか」と指摘する。
「コロナ禍でひとり飯を食べる人を優遇した結果、『子どもが騒ぐのが嫌だ』みたいな人を増長させてしまった。スターバックスにもお客さんはMacを開いてドヤ顔で仕事をするイメージがあった。でも、今はいろいろな人がスターバックスに行くようになった。最初に作られたイメージと実態はだんだんずれてくる。企業のブランドは変わっていくもので、過渡期なのだと思う」
実業家のハヤカワ五味氏は「働いている女性と、専業主婦でお昼の時間帯にふらっと来る人が対極しているように見えているのが、問題の根底にあるのではないか」と話す。
「都市部で働いている女性が『仕事が忙しくて短時間で食べなくてはいけない。でもある程度、体にいいものを食べたい。すぐに出てくるものがいい』と思っても、女性一人だと、吉野家などの牛丼チェーンには入りづらい。そもそもスープストック自体、グルテンフリーやベジタリアン向けの取り組みをいろいろやっている。今回の離乳食だけではない。離乳食の話で言ったら、一蘭は大人1人に対して子ども5人まで無料でラーメンが出る。でも誰も怒らない。一蘭はいいのに、スープストックはダメなのか」
子連れでの入店を禁止する飲食店も少なからず存在する。ハヤカワ氏は「店舗の狭さも影響しているのではないか」と指摘する。
「郊外だと広いこともあるが、都市部だとコンパクトな店舗が多い。スーツケース一個持っているときつい。そこにベビーカーが来た時のことを考えると、『私は席を移動しないといけないのか』と制限される想像を持ってしまった人がいるのではないか。普通に吉野家に一人で入れる身からすると『他にもお店はあるだろう』と思ってしまうが、都心のスープストックに行くと9割5分ぐらい女性だし、本当に“聖域”的な部分があったのだと思う」
一人顧客か、離乳食無料の親子か、飲食店なりの戦略はあるはずだ。ハヤカワ氏は「ブランドは全員をお客さんとして見られない。全ての人に100%良いサービスはできない」とした上で「ギャップが出てしまったり、期待外れと思われたりすることもある。選ぶ人が選べばいいし、嫌だったら買わなければいい話だ。前段として、今回の論争は、育休中の同僚の仕事を持っている人が『なんでこんなのをやらなければいけないんだ』みたいなフラストレーションもあったのではないか」とコメント。
(▲左:朝井麻由美氏、右:ひろゆき氏)
ソロ活・一人旅を主題に執筆をしているライターの朝井麻由美氏は「他の居場所を見つければいいだけの話だと思った。ソロでさっと食べられるようなお店はスープストックだけではない。一方で、子連れはむしろ選択肢が少ないから、優遇したほうがいいと個人的には思う」と述べる。
スープストック以外で、独り身の女性が入りやすいチェーン店はないのか。
「スープストックやサブウェイといったチェーン店で考えると、もしかしたら少ないかもしれない。展開していても2、3店舗ぐらいの個人店だ。確かにスープストックに類似するものがない。しいて言うなら、フレッシュネスバーガーだ」
ジャーナリストの堀潤氏は「実態に関しては、批判の声も疑問だ」と指摘する。
「“女の吉野家”のネタもかつて『2ちゃんねる』で流行っていたコピペ構文を使ったものだ。それに対して怒っている人がいて『ネタなのに』みたいなことがリアルタイムで繰り広げられていた。どこの誰がどれぐらい怒っているのか疑問だ。子連れに対する厳しい目線は今に始まった話ではない。企業もどうやって乗り越えていくべきか、アプローチに悩んでいる」
ひろゆき氏は「女性が普通に吉野家に入れる文化になったほうがいい。性別関係なく入れるお店が増えたほうが社会的にいいのではないか」と提案。その上で「子どもには温かくて野菜が入ったものをあげたい。すると、無料で提供してくれるのはスープストックしかない。やたら人が来て、経営が大変なことにならないか、危惧している」と述べた。(「ABEMA Prime」より)
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