23日に幕を閉じた統一地方選。兵庫・芦屋市では史上最年少26歳の市長が誕生、各地の市議会議員選挙でも立候補できる年齢になったばかりの25歳での当選が相次ぐなど、若い世代の活躍が目立った。
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そんな中、もう1人注目されたのが、「NO YOUTH NO JAPAN」代表理事の能條桃子氏(25)。被選挙権が満30歳であることを知りながら、神奈川県知事選に立候補届を出した。当然受理されなかったが、年齢を理由に不受理となったことを国に提訴することで、最終的に立候補年齢の引き下げを目指すという。
自民党も選挙公約に「被選挙権年齢の引き下げを検討する」と盛り込んだこともあるが、実現には至っていない。そこにはどんな「壁」があるのか。『ABEMA Prime』では能條氏、自民党総務会副会長の平沢勝栄衆議院議員らと議論した。
実は能條氏の動きは、今年2月に立ち上げた「立候補年齢を引き下げるためのプロジェクト」の一環。「国に裁判を起こすことを目的とした時、付随的違憲審査制といって、一度本人が何かの不利益を受けないと裁判ができない。パフォーマンスだという批判があったが、公共訴訟のための1つの準備として行った」「被選挙権が25歳のところに出たとしても1人じゃ何も変わらないので、現状を外から変えるためにこの方法を使った」という。
能條氏はすべての被選挙権を選挙権と同じ18歳に引き下げるべきだと主張するが、参議院でこそ必要だと訴える。「衆議院と参議院では議員の性質が異なり、参議院は一度受かれば任期6年でずっと同じ政策活動ができる。もし若い世代から1人でも2人でも参議院議員になれたら、若者政策がグッと進むと思う」。
一方、平沢議員は「年齢引き下げは将来的にいずれ行われると思う」としながらも、「どういう選挙を対象とするか、年齢は何歳からにするかなど、いろいろな角度から検討しないといけない。一番大事なのは、国民の皆さんが『ぜひやるべきだ』と言うこと。世論が高まり発信が増えてくれば、政治家は言われなくても動く。ただ、私自身が毎日いろいろな要望や陳情を受ける中で、この問題について来たことはない」と中立の立場。
そもそも、なぜ被選挙権は25歳と30歳なのか。参議院と知事が30歳である理由はどこにあるのか。「国民の皆さんがそれでいいと思っているからこういうかたちで来たのだと思う」と述べた。
作家・ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「平沢さんがおっしゃる『世論がまだ』というのは、なぜ被選挙権を引き下げてはいけないのかという理由にはなっていない。逆に引き下げるべき理由にはロジックがあると思っている」と指摘し、次のように語る。
「この二十数年でテクノロジーがものすごく進化したことで、情報の収集量と共に若者の情報処理能力は格段に上がった。僕らの時は“大人には勝てない”と思ったが、例えば音楽の世界でミドルティーンの子がYouTubeなどで学んでデビューしているように、テクノロジーの強みは政治の分野でも発揮できるはずだ。年寄りがダメだと言っているのではなく、多様性の一環として10代、20代の青年たちにも政治家になれる権利を与えるべき。
会社員で脂が乗ってきた30代40代の時に選挙に出るとなると、キャリアが途切れてしまう。いっそ20代の早いうちに政治家になって、何年かやった後に同じ道に進むのもよし、見切りをつけて実社会で生きていくというのもありだ。そういう新しいキャリアパスを作るという意味で、被選挙権の引き下げはありだと思う」
では、被選挙権の引き下げで何が懸念されるのか? 平沢議員は「何か問題があるということはないだろう」と答えた。
選挙権年齢の引き下げに伴い、自民党は2016年の公約に「被選挙権年齢の引下げについて検討する」と盛り込んだ。その後、2017年の衆院選、2019年の参院選でも記載されたが、2021年の衆院選では公約から消えている。
その経緯について問われた平沢議員は「コロナなど他の重要な問題が出てきて、限られたページの中でその部分だけ外れたものだ。忘れたわけでは全くない。優先順位の問題で、まだもちろん検討している」と回答。
対して能條氏は「総論は引き下げについてそれなりに賛成だ。人生をかけてまで反対する人はいないテーマだと思う。しかし、各論は難しいというところで後回しにされていて、『自分の政治家としてのリソースを割こう』というほどの熱意を持っている当事者がいない。同性婚など世論が高まっているのに一向に実現しないものもあれば、反対が多いのに通るものもある。『世論がイエスと言えば』という態度だといつまでも変わらないと思ってしまう」と訴えた。
(『ABEMA Prime』より)
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