バルセロナ

 バルセロナは27日、クラブ公式TVチャンネル『バルサTV』を運営する企業であるTBSCテレフォニカとの契約を更新しないことをクラブ公式HPを通して発表した。この決定により、現行の『バルサTV』の放送終了が“事実上”決まっている。

 スペインラジオ局『RAC1』や同メディア『ムンド・デポルティーボ』、『アス』などの報道によると、今回の『バルサTV』閉鎖はクラブの財政事情が大きく関係しているという。現在クラブは深刻な財政難に陥っている。ジョゼップ・マリア・バルトメウ前会長時代に巨額の負債を抱えたこと、新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延によって入場料収入が減少したことなどが主な原因だ。今季の開幕前にはラ・リーガが独自に設けているサラリーキャップ制をクリアできず、新規の選手登録ができない事態に陥っていた。当時はラ・リーガのテレビ放映権などクラブ資産を売却することで難を逃れていたが、来季に向けた財政問題は依然として解決しておらず、選手の大幅な給与削減が必要になるとも報じられている。

 このような状況中、クラブはコスト削減のために『バルサTV』の下請け会社であるTBSCテレフォニカとの契約非更新を決断。25日にブロファックス(スペインの内容証明郵便)を通じて契約を延長しないことを伝えた模様だ。2015年から契約を結んでいるTBSCテレフォニカに対して、クラブが支払っている金額は年間1200万ユーロ(約18億円)から1400万ユーロ(約21億円)ほどの見込み。およそ150名ほどと見られているTBSCテレフォニカの関係者は職を失うリスクが高いという。TBSCテレフォニカにて『バルサTV』を担当する従業員たちは、今年1月に労働環境の改善を求めるストライキを実施していたことでも知られている。当時はTBSCテレフォニカ側の譲歩によって2月中旬に両者合意していた。

『バルサTV』は1996年9月16日、オーディオビジュアル制作会社であるテレフォニカ・スポーツによって創設。バルセロナのトップチームからカンテラの試合を網羅しているだけでなく、過去の名勝負やバルセロナに特化した情報番組、さらには所属選手たちがアニメ化された『バルサ・トゥーンズ』シリーズなど幅広いコンテンツを放送してきた。当初は有料放送となっていたものの、2008年からはカタルーニャ州の地上デジタル放送にて無料放送がスタート。『Movistar+』や『Orange』のサービスを通してスペイン全国で視聴可能となっていた。

 なお、今後はクラブ主導のストリーミングプラットフォーム『バルサTV+』にて同等のコンテンツを配信していく予定だと報じられている。一方、クラブによるノウハウには限りがあることから、かつての『バルサTV』と同等の内容を維持していくことは難しいという懸念点も伝えられた。