「選挙カーやマイクの声がうるさくて気が滅入る」
「選挙カーの名前連呼に意味があるのか」
統一地方選挙の最中にあがった、今の選挙活動に対する疑問や不満の声。特に目立ったのが選挙カーに対する疑問だ。そんな中、東京都中央区議選や豊島区議選などでは、選挙カーやマイクを使わず大きな音を出さずに選挙戦を展開し、見事当選した議員もいる。
選挙活動の在り方はこのままでいいのか。選挙カーの音で生配信を断念したグラビアタレント・YouTuberのRaMuと、岐阜県議に初当選を果たした今井瑠々氏とともに議論した。
■RaMu「連呼しているから『嫌だな』と思った人を覚えてしまう」
「選挙カーが住んでる地域連呼するのでしばらく昼配信ができません」という自身のツイートについて、RaMuは「選挙カーに否定的な思いはないが、配信している時に“◯◯区の皆さん”と入るとバレてしまうというのは、周りのストリーマーも気にしている。ノイズ除去などで対策はしているが、念には念をということでファンに向けたツイートだった」と説明。
配信者にとっては仕事に直結する問題だ。「私は多方面で活動させていただいているが、配信だけで生活している人たちは大変だったのではないか。2週間でも収入はだいぶ変わると思う」。
また、TikTokである動画を見たそうで、「お母さんが『子どもが起きちゃうので移動してもらえませんか?それかせめて音量を下げてください』と言ったら、『法律で決まっているので移動しません』と高圧的に詰めている方がいた。撮られてネットにあげられてしまう世の中に気付いていない立候補者が結構いるんじゃないかなと、ちょっと疑問に思った。連呼しているから『嫌だな』と思った人を覚えてしまう」と話した。
■今井氏「『この地域には街宣車が来なかったけど…』という苦情もある」
そもそも、選挙カーについては公職選挙法で細かくルールが規定されている。候補者1人につき原則1台、運動は公示日から投票日前日までの午前8時~午後8時、走行中は「連呼行為」のみ、停止していれば演説可能、学校や病院などの周辺は静音保持に努める、などだ。
実際に欠かせないものなのか。今井氏は「2つ側面があると思っている。名前を覚えていただくことと、支援者や有権者の方に『誰々が来た』とお知らせするもの。ご迷惑だと思う方もいらっしゃるけれども、連呼をさせていただいているというのはある」と説明。
自身も「もう少し小さな音でやってほしい」という意見をもらったことはあるそうで、今回の選挙では工夫をしたという。
「街宣車だとうるさすぎるので、自分の近くまでしか聞こえないような小型のスピーカーを荷かごに乗せて、それを押してもらいながら歩く様子をInstagramでライブした。“この街を今井瑠々が歩いていて、行ってみたら会えるんだよね”というやり方を試してみた。1時間歩いたら20~30人ぐらい来てくれて、配信も200~300人が見てくださったので、新しいやり方はあると思う。街宣車で通るにしても、できるだけ繁華街や車通りが多い所、渋滞している所を選んで走っていた。
むしろ逆の、『この地域には街宣車が来なかったけどどういうことだ』という苦情もあったりする。高齢者の方が多いが、来てほしいと言う方もいらっしゃる」
■RaMu「投票所に行くだけで特定される」
今の選挙に変えてほしいことについて、RaMuは「ネット投票がいいと若者は言うけど、それは難しいみたいな小競り合いがある。投票所に行くだけで、ファンに会ったら『RaMuさんですか?』『ここら辺なんだ』と特定されちゃうから、外で人がいなくなるまで待っている。ジーッと見て、超不審者だ。そういう投票のしやすさの部分を改善してほしい」と訴える。
今井氏は「若者の視点としては、投票所にわざわざ行って鉛筆で名前を書くことはなかなかないと思う。若い世代の投票率を上げるため、そしてご高齢の方も遠いところに歩いていけない、車も乗れないという方もいらっしゃるので、ネット投票や郵便投票を進めていくべきだと思っている」と述べた。
近畿大学情報学研究所所長の夏野剛氏は「今の選挙制度はものすごく長い間運営されてきた。変えることで利益がある人と不利益が生じる人がいて、なかなかこの議論が進まない。郵便投票やネット投票は“誰かが代わりにやったらわからない”という話に必ずなるが、それでもやるべきだと思っている。投票所に行くのがすごく嫌だし、海外、アメリカだと平日の12時ぐらいまでやっている。子どもがいる家庭にとって日曜日はすごく大事なのでやめてほしい」と訴えた。(『ABEMA Prime』より)
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