「倒したぞ!」と左拳を突き上げてガッツポーズも、レフェリーがダブルノックダウンを宣告。「嘘やろ?」と納得いかない様子を浮かべるも、スロー映像を確認すると「これは妥当」「レフェリーよく見ていた」と納得の声続々。「お口あんぐり。俺がダウン奪っただろ」などと実況が心境を代弁した珍しいダウンシーンが反響を呼ぶ一コマがあった。
4月28日に後楽園ホールで行われた「Krush.148」。今村流星(KINGS)と坂本寿希(リーブルロア)の試合は目まぐるしい攻防の末、緊急参戦でデビュー戦となった今村が大逆転の末に左のカウンターフックで2ラウンドKO勝利を収めた。1ラウンドには、レフェリーが「ダウンしたぞアピール」に騙されずダブルノックダウンを宣告する珍しいシーンも飛び出すなど、白熱した試合が展開された。
坂本は他団体で王者の実績もあるプロ7戦目のファイター。対する今村はK-1アマチュアを経てこの日がプロ初戦。しかも急遽、代打でのデビューとなった。
開始から両者とも手数が多い展開。坂本がローで足を狩ると、今村もインローを返して相手を崩す。その後も今村はプレッシャーをかけ続けてワンツー。効いた坂本が思わずホールディングで逃れる場面も見られた。
すると1ラウンド残り1分、この試合のアグレッシブさを象徴するようなシーンが生まれる。今村が外側からフック気味に相手のテンプルをえぐると、坂本も負けじと右フック。それに今村がかぶせるようにフック。両者のパンチが交錯すると、坂本は「俺がダウンを奪ったぞ」とばかりに左拳を突き上げてアピールするが、レフェリーはダブルダウンを宣告。まさかの裁定に坂本は「えっ」と驚き、首をかしげた。
「こんなの初めてみたぞ」「相打ちだ」と驚きの声、一方では「いやおかしい」「ダブルか?」などレフェリーの裁定に異論も飛び出した問題の場面。スロー映像では両者ともに一瞬だが脳が揺れ、同時に崩れ落ち、坂本もヒザをついている。なんとか堪えた坂本だがダメージは明らか。一連の映像を見たABEMA視聴者からは「妥当だ」「ヒザついてる」「レフェリーよく見ていた優秀!」と納得の声が殺到した。
これでスイッチが入ったか、2ラウンドに入るとさらに壮絶な打撃戦へ突入。今村が一気に距離を縮めて右を振り回すと、坂本が技ありのカウンターで開始早々にダウンを奪う。前のめりに倒れた今村はすぐに立ち上がるも、終わらせようと畳みかける相手の猛ラッシュに後ずさり。解説の石川直生は「今村選手は今立ってるのがやっとで本能だけで戦っている」とコメント。それでも今村は果敢に前へとプレッシャーをかけていく。この姿勢に石川も「それでも目は死んでいない、アグレッシブですね」と称賛した直後だった。
今村が坂本の左に合わせて左フックを一閃。カウンター気味の一撃をまともに被弾した坂本は前のめりでガクリと崩れ落ち、レフェリーが試合を止めた。
荒削りさと勢いが交錯するKrushならではの戦い。両者ダブルダウンから互いにワンダウンを奪い合うジェットコースターのような目まぐるしい展開に、「なんだこの試合は」「こんなダウン合戦はなかなか観れない」「一試合目からアツい」などファンの興奮は冷めやらない様子だった。