トレント・アレクサンダー・アーノルド

 リヴァプールに所属するイングランド代表DFトレント・アレクサンダー・アーノルドが、イギリス紙のインタビューに応え、プロになるまでの道のりを振り返った。30日、イギリス紙『ガーディアン』が伝えている。

 A・アーノルドは27日、『ザ・アフター・アカデミー』と呼ばれる事業を行うことを発表。同選手は、自身のツイッター(@TrentAA)で「ほとんど話題にならないサッカーの一面がある。ピッチで夢を叶えられることはとてもラッキーだ。99%の選手は夢を叶えられない」と語り、プロを目指し、それだけのために多くのことを犠牲にしても、努力が報われない少年少女が多くいることを明かし、プロへの道を絶たれた多くの若者に教育や雇用の機会を提供するなどの支援を行う事業をスタートさせた。

 現在24歳のA・アーノルドは地元リヴァプール出身で、2004年にリヴァプールのアカデミーに入団。2016年10月にトップチームデビューすると、同年12月にプレミアリーグデビューも果たした。2018-19シーズンには同リーグのDFとして1シーズン最多の12アシストを記録。さらに翌シーズンにはその記録を「13」に伸ばし、年間最優秀若手選手賞を受賞。プレミアリーグを代表するサイドバックとなっている。

 そんなA・アーノルドがプロになるまでの道のりを振り返り、その苦労を明かした。

「中学からサッカーが趣味ではなくなってしまったんだ。友達と遊ぶ時間もなかったし、家族で出かけるようなこともなかった。朝7時にバスが迎えにきて、夜8時に帰宅すると、宿題、夕食、睡眠で一日が終わる。それが4年間の生活だったんだ。一度もそこから外れたことはないし、母や兄弟と過ごす時間は少しはあったけれど、何もしていない。あの時は家族から切り離されていた。単純に会わなかったんだ。学校に行くために誰よりも早い時間に起きて、遅くに帰宅する。もうクタクタだった」

「ホームパーティーにも一度も行かなかった。でも、自分の学年には同じ生活をした人が16人もいたんだ。今、知られているのは自分だけだ。他は忘れ去られている。自分にはそういう若者の声に耳を傾け、サポートする義務があると感じている。自分が同じ立場になっていたかもしれないからね」

 幼少期からアカデミーの選手として成長し、順風満帆とも言えるキャリアを歩んでいるA・アーノルド。しかし、同選手は「ほとんど話題にならないサッカーの一面」として、そんな人生を歩めなかった多くの若者たちに手を差し伸べようとしている。