『FRIDAY』が報じて注目を浴びることとなった、中古車販売業界。中古車の販売や買取はもちろん、車検、修理、保険の取扱いなどを行っているが、その“裏側”が話題となっている。
『ABEMA Prime』では、YouTubeチャンネル『忖度無しの車屋社長』で業界の体質を赤裸々に語り話題になっている、中古車業界大手の元幹部で「BUDDICA」社長の中野優作氏に話を聞いた。
■業界大手元幹部が明かす“3つの注意ポイント”
(1)車検が不正の温床に?
中野氏によると、「無資格者が検査、名前だけ有資格者に」「オイルなど『交換済み』とうそをつく」「問題ないのに不要な交換、高額請求」「虚偽、水増し保険請求」「検査で引っかかったところだけを整備(国交省禁止の前検査)」などの行為が行われているという。
「YouTubeに書き込みがあるものだと、深夜まで働かせられている問題があり、手抜きせざるを得ないのではないか。例えば飲食店だとお客さんがいっぱいになったら入れないが、車検は受付をしまくっている。儲からない部門だが、不正をした会社が儲かっていないということもないので、やり過ぎ感はある。
解決策の提案としてはキャパシティコントロール。工場の規模や人員で“無理だろう”という量は防ぐ。工場単位でいえば200台ぐらいだろう。ここに基準を設けるといいと思う。もう一つは交換部品。例えばブレーキパッドのような見えないものは本当に交換したのかということになるので、“これからこれに変えた”と見せるのは有効だ」
(2)買い取り契約後の減額
買い取り契約をして車を引き渡したあと、店側が「車の傷を見つけた」と減額交渉をしてくることがあるという。
「契約してから1週間後に入庫した際、『傷を見落としていた』といった理由で下げるのが流行っている。一括査定で数社が競合になり、僕たちは負けてしまったが、2週間後ぐらいにお客さんから『金額を下げられた。どうにかならないか?』と相談がくるケースは日常的にある。クーリングオフの対象外なので店側が有利すぎる。お客さんは『そう言われたらそうか』となってしまう。
一番多いケースが事故車の見落としだ。ぶつけていたとして、事故かどうかの評価はお客さんにはわからない。3社は事故車だとして80万円、1社がそうではないと判断して100万円で評価する。営業マンは『事故ではない』と言うが、いざ車を引きあげたら事故っぽいということで100万円から減額するという感じだ」
中野氏は対策として、引き渡し前に必ず写真を撮っておくこと、契約時に「減額しない」と保証させることをあげた。
(3)アドオン式ローン
アドオン式ローンとは、当初の借入金額に対して金利を乗せる方式。ローン残高が減っても毎月一定の金利を払う。一方、実質年率で見た場合、ローン残高に対し毎月金利を計算する。例えば、借入金額が200万円、返済回数12回、金利3%の場合、アドオン式は200万円×3%で6万円の金利総額だが、実質年率だとローン残高の減少に伴い月々の金利も減っていくため、総額は3万2496円となる。
「アドオン式ローンを組むと出る金利の差額で儲けるというのが一時期流行っていた。とんでもないマージンが店側に入るので、粗利1割の車を売って儲けるよりはるかにイージーだ。銀行ローンが金利2.9%のところ、9.9%なんていうのは普通に考えたらないが、“滅多に買わないしこれだけ大きな会社だったら”ということで組んでしまう。
ただ気をつけて欲しいのは、ここまでは合法だということ。『さすがに金利が高いから支払期間を短くしたい』となった時に、『長く組んでもらって、1年後に一括返済したら1年分の金利しかかからない』という嘘が一時横行していた。ネットレベルでは1、2年前にかなりざわついていたが、もうさすがにやってはいないと思う。ここに営業のインセンティブが発生するのだが、辞める前提でやっている人がいたとしたら怖い」
■10月以降に売り方は改善?
“車離れ”が叫ばれる中、中古車業界は「需要と供給のバランスで見ると弾(車)のほうが多いが、価格相場は下げ止まった感がある」と話す中野氏。一方で「もちろん少子化もあるので、全体のパイは減っていく。コロナ前まで中古車市場は登録台数ベースで拡大していたので、そんなに悪くないと思っているが、車を持たなくてもいいという雰囲気はあるので、これから淘汰は起きてくるだろう」との見方を示す。
業界の「闇」と取り沙汰される中、不透明な部分を払拭していくことはできるのか。「いろいろ問題があったのはマーケティング合戦だ。本体は1円だけど初期費用100万円というバカみたいな話が許されていたが、今年の10月から法律が変わり、総額表示が義務化される。そうなればちゃんと競争ができるようになるだろうと期待している」と述べた。(『ABEMA Prime』より)
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