将棋の第8期叡王戦五番勝負第3局が5月6日、愛知県名古屋市の「か茂免」で指され、3連覇を目指す藤井聡太叡王(竜王、王位、棋王、王将、棋聖、20)が挑戦者の菅井竜也八段(31)に163手で勝利した。この結果シリーズ成績を2勝1敗とし、防衛に王手をかけた。次戦で藤井叡王が決めきるか、菅井八段が再び追いつくか。注目の第4局は5月28日、岩手県宮古市の「浄土ヶ浜パークホテル」で行われる。
藤井叡王が大熱戦を制し、防衛3連覇と六冠堅守へ“王手”をかけた。勝負所の第3局は、藤井叡王の居飛車、菅井八段の三間飛車に。前局と先後を入れ替え、再び相穴熊戦となった。菅井八段が四間飛車に振り直す工夫を見せると、攻め合いへと発展。藤井竜王が攻守の起点となっていた飛車を自陣を引いたことで再び仕切り直しとなり、じりじりと長く難解な中盤戦となった。
藤井叡王は堅陣を活かした攻撃を見据えたが、攻め駒が前進しにくい展開となり、持ち時間を大量に投入して一分将棋に突入。終盤戦では千日手の順も示されていたが、藤井叡王が勝ちを目指して打開を決断した。しかし、ここから菅井八段が角から攻め込み、抜け出すことに成功。このまま後手が押し切るかと思われたが、最終盤で後手も一分将棋となると形勢は再び混とん。一手ごとに形勢が入れ替わる攻防戦が繰り広げられ、ギリギリの大熱戦の中から藤井叡王が逆転すると、一気に突き放して待望の勝利を掴み取った。
激戦から大きな白星を手にした藤井竜王は、「かなり形勢判断が難しい将棋で、どうやって本格的な戦いに入っていくのかわからないまま指していた。(千日手の)可能性もあるのかなと思っていたが、時間がなかったのでよくわからなかった。本譜は攻め込まれてしまって苦しくなってしまったので、千日手の変化を受け入れた方が良かったかもしれません」と一局を総括。一方、悔しい敗戦となった菅井八段は、「すごく難しい中盤戦だった。具体的にどこというのは難しいが、あまり成算がなかったので千日手を目指すべきだったのかもしれない。一分将棋に入ってから悪い手が続いたと思います」と険しい表情を見せた。
藤井叡王は現在、対局相手も持ち時間も全く異なる名人戦七番勝負にも挑戦中。渡辺明名人(39)とのシリーズは2連勝でリードを広げており、最年少名人位獲得に着実に近づいている。本局で勝利を飾ったことで、保持する6つのタイトルの堅守に前進。ダブルタイトル戦のハードスケジュールをこなす中で、七冠制覇にも一歩ずつ近づいている。
藤井叡王が次局で防衛を決めるか、先手番となる菅井八段が再び追いつくか。第4局は約3週間後の5月28日、岩手県宮古市の「浄土ヶ浜パークホテル」での開催が予定されている。
(ABEMA/将棋チャンネルより)