5月5日にZOZOマリンスタジアムで行われた千葉ロッテマリーンズ対福岡ソフトバンクホークスの一戦で吹き荒れた、最大風速17メートルの強風が野球ファンの間で話題となっている。
【映像】恐怖のキャッチャーフライの瞬間
この日、ZOZOマリンスタジアム周辺は、同球場の“名物”ともいうべき強風が吹き荒れ、その中で試合が行われることとなったが、やはりというかこの“マリンの風”が、プレーにも大きな影響を及ぼすことに。たとえば両チーム無得点で迎えた4回裏には、ロッテの4番・井上晴哉、5番・ポランコが、それぞれホームラン性の飛球を放つも、いずれも外野方向からホーム方向へと吹く強風によって押し戻され、2者連続のセンターフライに。この日は両チームとも投手陣が好投したことに加え、こうした影響もあってか、ともに得点できず、延長12回引き分けとなった。
すぐそばに海があるという特徴的な立地もあって、これまでもマリンスタジアムでは風による影響で選手のプレーに大きく影響が出ることも珍しくなく、そうした経緯もあって、4月14日に行われた千葉ロッテマリーンズ対オリックス・バファローズの一戦では、クローザーとして登板したロッテの澤村拓一が、最後の打者を打ち取った際、打球を打ち上げた瞬間に、すぐさまおなじみの“ドヤ顔&腕組みポーズ”を披露したのを見たロッテOBの里崎智也氏が、同球場でのプレー経験に基づく形で、「一番最悪なパターンが、あれ(澤村の“ドヤ顔&腕組み”ポーズ)から、(野手がボールを)落とすっていうね。そのパターンもありますからね。」「落としたバージョンも考えておかないと。マリン、風吹いてますから。万が一があるんでね。」と、4月21日放送の『バズ!パ・リーグ』(ABEMA)の中でコメントしていた。
実際、昨季もこの“マリンの風”は、幾度となくプレーに影響しており、たとえば6月24日に行われた千葉ロッテマリーンズ対オリックス・バファローズの一戦では、風の影響で、両チームの投手のボールが魔球のように変化するという現象が巻き起こったほか、8月10日に行われた千葉ロッテマリーンズ対福岡ソフトバンクホークス戦でも、ロッテのマーティンが「文句なしの一発」に見えた一撃が強風で押し戻されてしまい、ベンチに戻るやヘルメットを叩きつけて怒りをあらわにするというひと幕が。さらにその翌日である8月11日にも、ソフトバンクの柳田悠岐の放った打球が、前日のマーティンのひとコマを再現するかのようにバックスクリーン手前で押し戻され、柳田が思わず頭を抱えるという珍しい場面も発生している。しかし、“マリンの風”が影響するのは投球や打撃だけではない。
9月1日に行われた千葉ロッテマリーンズ対埼玉西武ライオンズ戦では、一見、平凡に見えたキャッチャーフライが、強風によってファウルゾーンからフェアゾーンへと押し流され、この打球を追った西武の森友哉(現・オリックス)が、落球しそうになりながらも、懸命のジャンピングキャッチでアウトにするという場面が。この場面について、前出の里崎氏は、森の捕球を称賛した上で、「風が吹いたときにホームベースのちょうど上は風が舞ってどっちに転がるかわからない。しかもマリンのホームの上は対象物が何もないので、遠近感やボールがどこになるかなどが全く分からない。黒い空に白い点が一つあるだけで、全く遠近感、方向性が分からない中でよく捕った」と、改めてこの強風と、球場の構造がもたらすプレーへの影響について説明しながら、「僕だったら、今の位置だったら今江と福浦さんに任せています。(本塁周辺の)土のところから出たら捕らないので『福浦さんと今江よろしくね』と。二人は自信があるのでね。一番難しいところを無理に捕りに行って落としたら元も子もない。(改めて実際の映像を指さし)サードもファーストも近くまで来ている。サードとファーストはスタンドが見えるので遠近感がつきやすい」と、森を含め、同球場特有の風を考慮したプレーへのアドバイスをした。
(ABEMA『バズ!パ・リーグ』)