将棋の藤井聡太竜王(王位、叡王、棋王、王将、棋聖、20)が5月10日、王座戦挑戦者決定トーナメント1回戦で中川大輔八段(54)に87手で勝利し、ベスト8進出を決めた。この結果、王座初挑戦と前人未踏のタイトル制覇に一歩前進。次戦では準決勝進出をかけて木村一基九段(49)対 村田顕弘六段(36)戦の勝者と対局する。
藤井竜王が前人未踏の“八冠”獲得へ、また一歩前進した。現在6つのタイトルを保持し、名人戦七番勝負で最年少名人&七冠に挑戦中の絶対王者にとっての最後の砦となっている王座戦。王座戦は6期目の参戦で、初出場となった2018年(第66期)のベスト4が最高だ。負ければ年内の八冠達成が消滅するトーナメント戦の初戦は、ベテラン強豪の中川八段との対戦となった。
本局は、藤井竜王の先手で得意の角換わりの出だしに。後手の中川八段は力強い駒組みで独創性をみせる展開となった。解説の屋敷伸之九段(51)も「見たことがない序盤の構想」とコメントしたが、藤井竜王は動じず自然に対応。中盤戦では攻めを志向してリードを拡大させていった。劣勢に立たされた中川八段は攻め合いを目指したが、弱点の側面を捉えられておりなかなか手を出すことができず。若き絶対王者は最後まで緩まず丁寧な指し回しで、1回戦突破を決めた。
勝利した藤井竜王は、「6筋の位を取られてこちらが仕掛けていく形になったが、攻めも軽い形になってしまうので成算がないまま進めていた。その後、飛車を打って成り込みを見せられるようになったあたりから少しずつ指しやすくなったのかなと思います」と一局を振り返った。
一方、敗れた中川八段は「気持ちとしては(藤井竜王の)八冠阻止を頑張り合いという気持ちで対戦していた。中盤で差をつけられないようにという気持ちで頑張ったが、見えないところで差を付けられてしまったような感じで、終盤に競らなかったのが残念」とコメントしていた。
この結果、藤井竜王は挑戦者決定トーナメント2回戦に進出。ベスト8入りを決めた。現在、名人戦七番勝負への挑戦と防衛戦の叡王戦五番勝負の2つのタイトル戦に臨む激務をこなしながら、王座初挑戦と八冠制覇へ一歩前進。次戦では準決勝進出を目指し木村九段対村田六段戦の勝者と対戦する。
(ABEMA/将棋チャンネルより)