「リアルと判別不能」ついに動き出した“AI美女” 自動生成される“作品”に著作権はあるのか?
【映像】リアルとの判別不能? AI美女のダンス動画
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 短時間で息を呑むようなオリジナル画像が完成。そのクオリティはもはや“現実と判別不能”と言えるレベルだ。ここで問題になるのは「一体この画像は誰のものなのか?」という点。『ABEMAヒルズ』では法律の専門家を招いて議論した。

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 ChatGPTなどAI関連のニュースを聞かない日はないが、「画像生成」の領域も圧倒的に進化している。百聞は一見にしかず。まずは画像を見てほしい。

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 海辺にたたずむ女性。今人気急上昇中のアイドルの写真ではなく、AIが生成した架空の人物画像だ。こうしたリアルすぎるAIによる画像生成作品をTwitterで公開しているTASUKU2023さん。画像生成AI「Stable Diffusion」を活用し、リアルな女性の画像生成をメインに活動している。

 写真との区別が付かないほどの画像をどのように生み出しているのか、その方法を聞いた。

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「『プロンプト』という項目に、出力したい情報と含めてほしくない情報を英語で入力する。“メイド服を来た女の子の写真風の画像”を出してほしいときは『Photo(写真)』という単語を多く入れる。女の子を出したいので『Girl(女の子)』と入れたり、笑っていたり、こっちを向いているなどのほか、メイド服を着てほしいのでメイド服の情報を入れている」

 ある程度の性能を持つパソコンが必要になるものの、画像生成の準備はいたってシンプルだ。指示の文章であるプロンプトを入力。「実写風」「アジア系」など、人物の描写を得意とするAIモデル(AIに学習させるために必要なデータ)を追加することでさらにクオリティを高めることが可能になるという。

 実際に出力された画像について、TASUKU2023さんは次のように評価した。

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「合格かなと思います。強いて言うなら、左の下の部分の机が曲がっていること。上手く作るコツは、最初から自分でやろうとせず、プロンプトを公開しているサイトなどを活用することだ。情報収集すればきれいな画像を出しやすいだろう」

 さらにTASUKU2023さんは、AIが生成した動画もTwitter上に公開。「ついにAI画像が動き出した」と驚きの反応が相次いでいる。

「AIはAIで良さがある。実際の人が踊るのをAIで加工して動画を作ったり、AIだけで動画を作ることも段々できるようになってきている。用途に合わせた活用が増えていくのではないか」

 『ABEMAヒルズ』ではAIと著作権の問題についても議論。こうした問題に詳しい弁護士の出井甫氏に解説してもらった。

■AIが生成した画像に著作権はあるのか?

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――AIが自動生成したイラストの著作権はどこにある?

出井弁護士:著作権が発生する著作物について著作権法上では「思想または感情の創作的な表現」と規定されているが、少なくとも現時点のAIには思いや感情は無い。そのため、AIが自動的生成したものには著作権は発生しない。

――AIに指示を出すための“プロンプト”に著作権は認められるのか?

出井弁護士:問題になるのは“思想または感情”がプロンプトに現れているかどうかだ。しかし、プロンプトなどの“短く、誰もが打ち込めるキーワード”だけでは著作権は発生しないという扱いになるだろう。ただ裁判例では、俳句や古文には著作権が発生しているケースがある。プロンプトもこれくらいの単語数になると、著作権が発生する可能性がでてくると思う。

慶応義塾大学特任准教授の若新雄純氏(以下、若新):細かいワードがいろいろ書かれていても、1つ1つが誰でも書ける要件の寄せ集めだと、その人の“ニオイ”みたいなものがないという判断になる。“思想または感情”とは、その人間のニオイみたいなものではないか。そこに権利を与えようというのは、法の素晴らしい試みだったと思う。AIを司っている学習データなどに“ニオイ”があるかと言われると難しい話なのだろう。

――AIに学習されてしまった(学習データに使われた)イラストなどの権利は?

出井弁護士:理論的にいうと、AIには「学習」と「生成」という2つの段階がある。学習を原則OKとするルールになっている今の著作権法では、自分の作品が学習に使われることを止めることは難しい。例外はあるとされているものの、その例外がどんなときに適用されるかがよく分からないのが現状だ。

 また、生成されたものについても(学習された作品と)作風が“似ているだけ”とされている。著作権は表現を保護しているものの、〇〇風みたいなものは保護されていない。「学習」と「生成」どちらの段階にも無理なハードルがある状況だ。

若新:大事なのは法だけでは答えがでない部分をどう考えるのかではないか。判断しきれない、答えが出ない部分を人間がどう考えるか。今後も「法律的にはNGじゃないから」という問題が増えるだろう。法でNGじゃないからいいのか。法だけではなく「倫理」についても学ぶべきではないか。法整備に加えて“倫理整備”のようなものがなければAI社会との共存はできない気がする。

出井弁護士:そうですね。政府も「AI利活用ガイドライン」というものを出している。やはり、法律以外でもそういったガイドラインなど“ソフトロー”なアプローチも重要になるだろう。

(『ABEMAヒルズ』より)

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