繰り出したスピンキックでかかとが相手の急所を捉え「バチン」。天を仰ぎ悶え苦しむ姿に「一発レッド級だ」と批判の声が殺到。さらにTKOシーンも急所をかすめる“疑惑”の前蹴り。なんとも後味の悪い結末に「ちょっと、わからないですね…」と識者も言葉を詰まらせた。
5月12日にタイ・バンコクで開催された「ONE Friday Fights 16 」。テミルラン・ベクムルザエフ (ロシア)とルオン・タイン・フック(ベトナム)の対戦は2ラウンド、ベクムルザエフが前蹴りでTKO勝ちを収めたが、スピンキックによるローブローでの大ダメージ後に再び”急所をかすめた”一撃決着に疑問の声も上がった。
ベトナムの23歳でONEデビュー戦のルオンと前回初参戦で判定負けを喫している25歳のベクムルザエフ。ともに若手によるフライ級キックボクシング戦。
同階級ながら体格がひと回り大きく手足も長いルオンに対し、小柄なベクムルザエフが一気に詰めて勢いのある左フックと序盤から爆発力を見せつける。時折見せるスピンキックやバックブローなど、攻撃のすべてが全力のベクムルザエフ。しかし、この思いきりの良さが悲劇を生むことになる。
1ラウンド終了間際、ベクムルザエフが放った渾身のスピンキック。しかしこれが、ルオンの急所に着弾。”バチン”と何とも痛そうな炸裂音とともにルオンは悶絶。前のめりに倒れれもがき苦しむ姿に、ABEMAのゲスト解説・亀井晨佑が「この入り方は厳しい…普通に蹴ったのとは訳が違う」と単なるローブローではない事を強調。すると実況の斎藤寿幸アナウンサーも「足の一番硬い部分が入ってしまった」とコメント。さらに問題のシーンのスローリプレイを見て亀井が「おーっ」と声を漏らし、さらに痛さが伝わるため息を漏らした。
その間もリングに倒れ込み、足ピンのまま天を仰ぐ辛そうな姿に「これは減点にして欲しい」「病院行きだ」「ぐったりしてる」「一発レッド級だろ」と同情の声が多数殺到。
それでもルオンは気力を振り絞り立ち上がると間もなく試合再開。そして2ラウンド、平静を装い打ち合うルオンはハイキックを連発し気を吐くが、徐々にベクムルザエフのプレッシャーに押され後退。
ダメージから回復しきれず攻撃が右ミドル一辺倒と単調なルオンを再び悲劇が襲う。ミドルの蹴り終わりに合わせたベクムルザエフの前蹴りが下腹部付近をかすめると、再び顔をしかめ悶絶した。
ベクムルザエフは手を広げて「蹴ってないよ」とローブローではないことをアピール。一方のルオンはローブローをアピールしたが、レフェリーはこれを認めず非情のダウンカウントを開始。カウント7でTKO決着となった。
スローリプレイではベクムルザエフの前蹴りが急所を捉えているようにも見える場面が。「ローブローに見える」「反則だろ」「納得がいかない」と批判の声が多く寄せられると、実況席の亀井も「ちょっとわからないですね…」と何とも歯切れの悪い様子で試合結果を受け止めていた。