アーセナルに所属しているスイス代表MFグラニト・ジャカが、今季限りでクラブを離れることが決定的となった。イギリスメディア『アスレティック』など複数の現地メディアが報じている。
ジャカとアーセナルの現行契約は2024年夏までとなっているが、現時点で新契約に向けた交渉などは行われていないという。クラブは移籍金の発生する今夏の退団を容認する方針で、ジャカ自身も長らく時を過ごしたアーセナルから離れる意思を固めたようだ。現行契約には1年間の延長オプションが付随しているが、アーセナルが移籍交渉で優位に立つため、同オプションを行使してからの退団となる可能性が指摘されている。
なお、ジャカに関してはかねてよりレヴァークーゼンからの関心が報じられていた。今月9日にはイギリスメディア『スカイスポーツ』によって2024年夏の移籍を画策していることが伝えられたが、移籍金を支払って1年前倒しでの獲得となりそうだ。ジャカ自身もアーセナル加入前までプレーしていたブンデスリーガに戻ることを前向きに検討しているとのこと。レヴァークーゼン側が用意している移籍金は1300万ポンド(約22億円)と見られている。移籍市場に精通するイタリア人記者のファブリツィオ・ロマーノ氏によると、2027年夏までの4年契約で既に個人合意に達しており、残るはクラブ間交渉のみとなっている模様だ。
アーセナルは今夏の移籍市場でウェストハムに所属しているイングランド代表MFデクラン・ライスの獲得に動いているだけでなく、ブライトンに所属しているエクアドル代表MFモイセス・カイセドにも関心を示している。最終的に本腰を入れて獲得に動く選手が何名になるのかは不明だが、中盤に新たな戦力が加入する可能性は高いだろう。このような事情がジャカの去就に大きな影響を与えることとなったのかもしれない。
現在30歳のジャカは2016年夏にボルシアMGからアーセナルへと完全移籍にて加入し、今シーズンがノースロンドンで過ごす7シーズン目となっている。2019-20シーズンには元フランス代表DFローラン・コシェルニー氏の退団に伴いキャプテンに就任した。だが、2019年10月に行われたプレミアリーグ第10節クリスタル・パレス戦で途中交代の際に大ブーイングを浴びせられ、サポーターに向けて暴言を吐いたことから、キャプテンの座を追われることに。一時は退団も取り沙汰されたが、同シーズン途中から指揮官に就任したミケル・アルテタ監督からの説得を受けて残留を決意。その後の“アルテタ体制”では不動の中盤に君臨している。今季はここまで公式戦45試合の出場で7ゴール7アシストを記録。持ち前のリーダーシップで優勝争いを演じたクラブを支えてきたことに加え、プレー面でも積極的に相手ボックス内に走り込むシーンが目立つなど、“ボックス・トゥ・ボックス”の選手として進化を印象付けた。
長期政権を築いたアーセン・ヴェンゲル元監督の時代を知る数少ない1人でもあり、強いリーダーシップを発揮して近年のアーセナルを支え続けてきたジャカ。果たして、ジャカとアーセナルの物語は今季限りで終焉を迎えるのだろうか。今後の動向に注目が集まっている。