「大島には入口があって出口がない。一度入ったら出られない」
ハンセン病にかかっているというだけで隔離され、人間として扱われなかった。そんな悲しい歴史が香川県の大島にある。
かつて多くのハンセン病患者が強制隔離された国立病療養所「大島青松園」。入所者の平均年齢が85歳を超えた今、差別や偏見の歴史をどう継承していくかが課題となっている。
そんな課題に関心を持ち、その歴史を学び始めたという2人の10代。そのなかで取り組んだのがハンセン病問題に関する人権啓発活動「Project O」だった。
「過去があるのに、知らないなんてダメだなと。いろいろ知って“活動したいな”と思った」(平井愛美さん)
「1番最初に自分達から発信したのは『大島しまあるきマップ』というもの。中学3年生の夏に初めて作ったそのマップを用いて、私たちが実際に大島に行って感じたことや見たこと・伝えたいことをツアー形式でめぐる『大島しまあるきツアー』も行った」(津田真帆さん)
歴史を知らない中高生と同じ目線だからこそ、自分たちが得た知識や島の魅力をストレートに伝えられる。2人は療養所にコンタクトを取り、入所者との対話を繰り返した。そのなかで2人が聞いたのは知識不足や誤解によって生まれる病気への差別や偏見だった。
「入所者の方の生の声が自分の中で深く刺さっている。『大島は人間を捨てた島だ』『大島に入ったら出られない。入り口があって出口がない島』というふうに入所者の方も話していた。ハンセン病にかかっているというだけで悪者のように扱われて隔離される。『人間として扱ってもらえない』。その一言を聞いた時は驚いた」
ハンセン病問題に関する現状を把握するため、厚生労働省は2万人以上を対象としたハンセン病問題に関する意識調査を実施する。ハンセン病に特化した全国的な調査は初めてとなる。
Project Oの2人は、今後も療養所や支援団体と連携を取りながら活動の幅を広げていきたいと話す。
「国内に13カ所ある国立療養所で唯一の孤島。大島は自然が豊かな島で魅力がたくさん詰まっていて、そこからしか学べない歴史も多くある。ハンセン病という切り口からではなく、瀬戸内海の島という切り口から入ってもらって、そこからハンセン病の歴史を知ってもらえる。そんな場所になってもらえたら」
(『ABEMAヒルズ』より)
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