トッド・ベーリー氏

 チェルシーの共同オーナーを務めるトッド・ベーリー氏らが、リーグ・アン(フランス)のストラスブール買収に動いているようだ。17日、イギリス紙『ガーディアン』や同紙『イブニング・スタンダード』などが伝えている。

 チェルシーは昨年5月にベーリー氏を中心とする共同事業体らに買収された。過去2回の移籍市場で6億ポンド(約1030億円)以上の大型補強を敢行したが、その影響で30人以上の選手が在籍することになり、チームはまとまらず。指揮官も2度の交代を余儀なくされ、現在はプレミアリーグで11位に位置し、来シーズンの欧州大会の出場権を逃すことが決定している。

 そんな状況のチェルシーだが、ベーリーオーナーらはグループを誕生させることを目指しており、かつてベーリー氏は「若手のスーパースターたちに公式戦の出場時間を与えながら、チェルシーのピッチに立つための道筋を作ることができる」とそのメリットについて言及していた。また、イングランドのクラブは欧州連合(EU)離脱後、他国の18歳以下の選手と契約ができないことから、傘下を作ることで同国の若手選手との契約が可能となるなどのメリットが挙げられている。

 これまでフランスやベルギー、ポルトガル、南米などの多くのクラブに目を向けてきたことが明らかになっているチェルシーだが、交渉はうまくいかず。それでも、今回の報道によると、現在FW鈴木唯人とGK川島永嗣が所属しているストラスブールの株式を購入することで交渉が順調に進んでいるという。

 なお、ストラスブールが現在リーグ戦残り3試合の時点で14位と降格圏の17位ナントとは勝ち点「5」差となっていることから、今季残留することが買収の大きな条件の一つになっているようだ。

 現在のサッカー界では、シティ・フットボール・グループ(CFG)がマンチェスター・Cを筆頭に世界各国の13クラブを次々と傘下に収めているほか、ライプツィヒやザルツブルクのレッドブル・グループなどが大きな存在感を示している。さらに、三笘薫が所属するブライトンのオーナーもベルギー1部のユニオン・サン・ジロワーズを所有しており、昨季はA代表経験がなかったことからイギリスでの労働許可証が発給されなかった三笘をユニオンへと1年レンタル移籍させるなど、近年はグループ経営のメリットにも注目が集まっている。

 チェルシーはストラスブールに加えて、ポルトガルのポルティモネンセなどの買収にも興味を示しているようだが、果たしてベーリーオーナーらが望むようなチェルシーグループは誕生するのだろうか。