「これで断られたら…」海外旅行にまで同行し説得 編集者の奮闘、千原ジュニア“4コマ漫画家”としての素顔
【映像】原口あきまさによる“千原ジュニア再現VTR”
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「これで断られたらもう諦めるしかない…」

 2019年の年末、当時『週刊SPA!』の副編集長だった田辺健二氏は追い込まれていた――。

【映像】原口あきまさによる“千原ジュニア再現VTR”

 5月15日に発売された、千原ジュニアが『週刊SPA!』で連載中の4コマ漫画「囚囚囚囚」を書き下ろした書籍『嗚呼 蝶でありたい』(扶桑社)。そこに至るまでの物語を『ABEMA的ニュースショー』は追った。

 田辺氏が千原ジュニアに4コマを初めて打診したのは2019年秋のこと。しかし、

「なんなら食い気味ぐらいに『それはちょっと無理やな』と。『自分はすごく漫画家さん、先生に対するリスペクトがあるから』という感じで、キッパリ断られた」(田辺氏)

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 田辺氏はその後も、機嫌をうかがいながら打診を続けるが、答えは全て「NO」。千原ジュニアのマネージャー・小早川大亮さんも「ありがたいお仕事という気持ちはありつつも、スケジュール的に成立できるかというところが心配で。『難しいかも』という話はさせていただいていた」と振り返る。

 2019年の年末、千原ジュニアはプライベートで海外旅行へ。田辺氏はそこに着いて行き、旅先で口説き落とそうと、「ラストチャンス」に懸けていた。

 向かったのは、南太平洋に位置するバヌアツ共和国。世界一火口に近づけるなど、火山マニアにとっては聖地の島だ。バヌアツ牛に舌鼓を打ち、赤ワインを片手に歓迎ダンスを楽しむなど、想像を超えた楽しさが待っていた。

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 そして、その瞬間は大晦日のカウントダウンに訪れた。南の島でほろ酔いの千原ジュニアに、田辺氏は切り出した。

「……4コマ漫画、描きませんか?」

 赤ワインを片手にニヤッと笑った千原ジュニアからは、「ほな、描こか」という念願の返事が。しかし、ここからが本当の戦いの始まりだった。

「最初に考えたのは、膨大な作業時間が必要になってくるなと」(田辺氏)

 毎週日曜昼ABEMA的ニュースショーの生放送の後、千原ジュニアと田辺氏、放送作家が集まってアイデアを練る生活が始まった。しかし、田辺氏の案に千原ジュニアは簡単に首を縦に振らず、生みの苦しみと戦うことに。

 千原ジュニアの話を田辺氏は猛スピードでパソコンに打ち込み、ネタ決めやコマ割りを千原ジュニア中心に決め、シャープペンでラフを描き上げる。3本のラフが完成するまで約3~4時間。このラフに千原ジュニアがペンを入れて原画を完成させるが、多忙を極める中でいつ作業をしているのか。

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 「今週はいつ作業できるのかと思いながらも、毎週きちんと完成品が上がってくる」と話す小早川さんが見せてくれたスケジュールには、打ち合わせなどを含めた予定がぎっしりだ。

 当初は断っていた4コマ漫画になぜそこまでして取り組むのか。間近で見続けていた後輩芸人の伊藤トラボルタは「4年間ぐらい一緒にいて、週2、3回はご飯に行かせてもらってますけど、『4コマ』という言葉がめちゃくちゃ増えた。『4コマどうしようかな~』『あの日までに作らなきゃな~』みたいな」と明かす。

 田辺氏は、後から千原ジュニア本人に聞いて驚いたという。

「『どうしても気になって目が覚める』と」(田辺氏)

 早朝からの仕事では、千原ジュニアは家を出る数時間前に早起きし、原稿を完成させていた。

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 千原ジュニアにしか描けない独創的で挑戦的な作品を、毎週休むことなく量産し続けた。その姿はもはや芸人の域を超えていた。

「ジュニアさんは漫画愛がとてつもなく強い方。途中から漫画家さんと喋ってるのかなという気持ちになるぐらい」(田辺氏)
「本人とは別のジュニアさんが常にどこかで見ていて、そのアングルで4コマを描いている。常にアンテナを張っている」(伊藤トラボルタ)

 スタジオでは原口あきまさによる再現ドラマを見た上で、千原ジュニア本人が4コマ漫画執筆に言及。バヌアツでついに“陥落”したことについて、「本当に楽しかったのと、おいしいお肉と赤ワインにほだされて首を縦に振ってもうた」と明かす。

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 また、執筆時間の確保については「朝起きて描いているだけ。夜は忙しいから、お酒が一滴でも入ったら描かない」とそのこだわりを語った。

 再現VTRに千原ジュニアからツッコミが入る中、ともに走ってきた田辺氏は「2年半、ある意味人知れずジュニアさんに4コマ連載に向き合っていただいたのを、いろいろな方の証言をもとに作らせてもらった」と熱弁した。(『ABEMA的ニュースショー』より)
 

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