Uー20W杯に臨むUー20韓国代表…国民が期待する“神話の再現”はなるか?

大会初戦を迎えるまでのチームの軌跡

 アルゼンチンで開幕したFIFA Uー20ワールドカップ2023。Uー20セネガル代表に1ー0で勝利したUー20日本代表に続き、Uー20韓国代表もいよいよ大会初戦を迎える。

 グループFの韓国は5月23日(以下、日本時間)の初戦でUー20フランス代表と対戦した後、26日にUー20ホンジュラス代表、29日にUー20ガンビア代表と戦う。試合はすべてメンドーサのエスタディオ・マルビナス・アルヘンティナスで実施。同会場は日本がグループ最終節でUー20イスラエル代表と対戦する舞台でもある。

 チームを率いるのは、現役時代に2003年シーズン途中の半年間のみベガルタ仙台に在籍したキム・ウンジュン監督。Uー20代表以前はUー23韓国代表コーチとして2018年の第18回アジア競技大会(金メダル)、2020年のUー23アジア選手権(優勝)、2021年の東京五輪(ベスト8)を経験し、2021年12月よりUー20韓国代表の指揮官を務めている。

 キム監督体制のUー20韓国代表は昨年1月の招集から本格的に始動した。同年3月に初実戦としてUー19インドネシア代表と対戦した後、4月にアウェイでUー23ベトナム代表との2連戦を実施。6月にはポルトガルで行われたリスボン国際トーナメントUー18に参加し、Uー18ポルトガル代表に1ー5で大敗したものの、Uー18チェコ代表とUー18ノルウェー代表にはそれぞれ勝利した。

 その後、9月のUー20アジアカップ予選は3戦全勝を収め、11月にはUー19ウズベキスタン代表と2度の親善試合を行った。今年に入ってからは1~2月にかけてスペインで1次キャンプ、韓国国内で2次キャンプを実施し、3月のUー20アジアカップ本大会では優勝国ウズベキスタンに準決勝でPK戦の末に敗れ、日本と同じ3位で大会を終えた。

 そして、今回のUー20ワールドカップ直前にはブラジルのサンパウロで約10日間のキャンプを組み、現地のチームとの2度の練習試合でいずれも勝利。18日に開催地アルゼンチンに入国し、現在までメンドーサで初戦に向けた準備を進めてきた。

今大会で注目を集める選手は?

 今大会に挑むUー20韓国代表メンバー21人の内訳は、欧州組がキム・ヨンハク(ポルティモネンセ)とイ・ジハン(フライブルク)の2人。ほかは全員国内組で、Kリーグ1(1部)が10人、Kリーグ2(2部)が7人、大学生が2人となっている。

 注目選手は背番号20を付けるセンターバックのキム・ジス(城南FC)。2004年12月生まれの18歳とメンバー最年少でありながら、先日にはプレミアリーグブレントフォードが獲得交渉中と報じるなど、「第2のキム・ミンジェ」との呼び声高いDFの有望株だ。

 ほかにも、昨年7月のEAFF Eー1サッカー選手権でA代表デビューしたウインガーのカン・ソンジン(FCソウル)や、現A代表率いるユルゲン・クリンスマン監督も一目を置く背番号10のペ・ジュンホ(大田ハナシチズン)など、前線にもKリーグで活躍する若きタレントが名を連ねている。

 ポーランドで行われた前回の2019年大会では、イ・ガンイン(現・マジョルカ)やオ・セフン(現・清水エスパルス)などを擁して準優勝という快挙を成し遂げた。特にイ・ガンインはメンバー最年少ながら背番号10を背負い、2ゴール4アシストの活躍で大会MVPにあたるゴールデンボールを受賞。そのため、今回も「4年前の“神話”の再現を」と好成績を期待する声は多い。

 韓国ではUー20ワールドカップを地上波3社(KBS、MBC、SBS)で生中継。解説はイ・ヨンピョやアン・ジョンファンなど往年のレジェンドたちが務める。前回大会決勝では瞬間最高視聴率34.4パーセント、3社合計視聴率30.4パーセントと高い数字をたたき出していたが、今回も国民の多くの関心を集めることはできるだろうか。

 キム監督は「遠く離れた地ではあるが、若い選手たちが力を得られるよう、韓国から多くの応援をお願いしたい。その期待に応えるべくピッチで最善を尽くし、良い試合をお見せしたい」と意気込みを伝えた。はたして前回大会同様の快進撃を見せることはできるのか、元Jリーガー監督率いるUー20韓国代表の戦いぶりにも要注目だ。

文=姜 亨起(ピッチコミュニケーションズ)

■Uー20韓国代表の招集メンバー21人
▼GK
12 キム・ジョンフン(高麗大学)
1 キム・ジュンホン(金泉尚武/2部)
21 ムン・ヒョンホ(忠南牙山FC/2部)

▼DF
20 キム・ジス(城南FC/2部)
2 パク・チャンウ(全北現代モータース)
19 ぺ・ソジュン(大田ハナシチズン)
5 イ・チャンウク(慶南FC/2部)
15 チョ・ヨングァン(FCソウル)
4 チェ・ソクヒョン(檀国大学)
13 チェ・イェフン(釜山アイパーク/2部)
3 ファン・インテク(ソウルイーランドFC/2部)

▼MF
14 カン・サンユン(全北現代モータース)
11 カン・ソンジン(FCソウル)
7 キム・ヨンハク(ポルティモネンセ/ポルトガル)
6 パク・ヒョンビン(仁川ユナイテッド)
10 ペ・ジュンホ(大田ハナシチズン)
8 イ・スンウォン(江原FC)
16 イ・スンジュン(FCソウル)
17 イ・ジハン(フライブルク/ドイツ)

▼FW
18 パク・スンホ(仁川ユナイテッド)
9 イ・ヨンジュン(金泉尚武/2部)