今節は人種差別糾弾の横断幕が掲げられるも…バレンシアDF、リーグ側への“抗議”として参加拒否

 バレンシアのフランス人DFムクタル・ディアカビが、人種差別を糾弾する横断幕『Racists, out of football』のポーズを拒否した。25日、スペイン紙『マルカ』が報じている。

 先週末の『ラ・リーガ第35節 バレンシアvsレアル・マドリード』の一戦で、レアル・マドリードに所属するFWヴィニシウス・ジュニオールへのヘイトクライムが起きた。かねてより、ラ・リーガ全体に根強く残る問題だったが、今回の一件が世界中で反響を呼んだことを受けて、スペインサッカー界も人種差別に対する認識を改める機会となっている。実際に、ラ・リーガやスペインサッカー連盟(RFEF)が共同キャンペーンを立ち上げ、その一環として、今節は各会場で、選手ならびに審判団が『Racists, out of football(差別主義者はフットボールから出ていけ)』の横断幕を掲げた。

 そんな中、25日に行われた『ラ・リーガ第36節 マジョルカvsバレンシア』の一戦で、バレンシアのDFムクタル・ディアカビがこの取り組みへの参加を拒否した。背景には、かつて同選手が人種差別の被害を受けたことを主張したものの、ラ・リーガ側は「(フアン・)カラがディアカビを侮辱したという証拠は見つからない」と結論づけて、処分を下さなかったことがある。あろう事か、同リーグのハビエル・テバス会長は「誤解していただけかもしれない」と歯牙にもかけない発言。無論、バレンシア側は「証拠がない=“なかったこと”ではない」と不服を申し立てていた。

 そのためディアカビは、自身とヴィニシウスのケースに対するラ・リーガ側の対応の違いに不満を募らせており、“抗議”という意味合いで今回のアクションに及んだようだ。一方で、同選手は「僕は、一部のファンから人種差別的な侮辱を受けたヴィニシウスを支持する」と自身の公式Twitterで連帯を示している。