「児童手当の拡充より、現役世代の“手取り”が大事」異次元の少子化対策が“効かない”理由
【映像】少子化対策は何をすべきか 財源への不安も
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 政府は、2024年度からの3年間を少子化対策の加速化期間として、予算を年間3兆円規模で追加する方針だ。その目玉政策として、児童手当を拡充する方針を打ち出している。

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■目玉の児童手当拡充、その内容は?

 政府は、児童手当の所得制限を撤廃するほか、第3子以降の児童手当を1人あたり月額3万円に倍増、さらに支給対象を18歳まで引き上げる方針だ。

 ネット上ではこれらの政策に好意的な意見が見られる一方、扶養控除の見直しも浮上したことで批判の声が上がっている。

 政府関係者によると、児童手当の支給対象を18歳まで引き上げた場合は、16歳以上の子どもを扶養すると1人につき38万円が所得額から控除される現在の「扶養控除」を縮小する案も検討されている。そうなると、実質的にプラスマイナスゼロ、あるいはマイナスになる家庭も出てくるとされている。

■異次元の少子化対策、その財源は?

 22日に行われた「こども未来戦略会議」で岸田総理は、「財源確保のため、消費税を含めた新たな税負担は考えていない」と発言している。

 その一方で、政府は必要な財源3兆円のうち、約1兆円を社会保険料への上乗せでまかなうことを検討している。複数の政府関係者によると、上乗せ額は加入組合により異なるが、1人あたり月額数百円程度になる試算で、6月の骨太方針までに社会保険料の増額有無が示される見通しだ。

 社会保険料への上乗せは2026年度から始める方針で、2024年度からの2年間は「こども特例公債」を発行し、当面の財源とすることが検討されている。

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■現役世代の手取りが肝心

 政府が検討する「異次元の少子化対策」について、ノンフィクションライターの石戸諭氏に話を聞いた。

「1番大事なのは“現役世代の手取りをどれだけ確保するか”だ。社会保険料の引き上げが前提だと負担を増やすのと同じ。所得制限を撤廃、第3子以降の支給増額も反対はしない。ただし、これが本当に少子化対策になるか僕は相当疑問です」

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――少子化対策は何をすべきか?

「少子化対策に何が効果的なのか不明瞭ですが、少なくとも日本においては結婚と出産には相関関係があることはわかっている。1番の問題は独身世帯の人たち、特にお金がないから結婚できない状況の若い人たちがたくさんいることではないか」

「若者にお金がないならそれをちゃんと増やしてあげる、男女とも雇用を増やして正社員になりやすくする、手取りを増やすために減税するなど手段はたくさんある。今の少子化対策は『結婚して、子育てしたいけどできない若者たち』に対して効果が薄いのではないかと考えている。コロナ禍で結婚件数はとても減り、“失われた結婚”という試算もある。いま必要なのは、異次元の少子化対策よりも、“異次元の経済対策”のほうが必要だと思う」

――子育て世帯にも支援は必要か?

「当然だ。ここでも現役世代対策という言葉を使いたい。子育て世帯への支援も大事だが、既婚・未婚や子どもの有無で分けず、ちゃんと現役世代にフォーカスすることが重要で、現役世代が豊かな選択肢を持てるような政策が基本だ。同じ世代のなかで、独身世帯と子育て世帯の分断が起きないようにしてほしい」

(『ABEMAヒルズ』より)

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