エミール・スミス・ロウ

 去就に注目が集まるアーセナル所属のU-21イングランド代表MFエミール・スミス・ロウだが、クラブに放出の意思はないようだ。30日、『アスレティック』や『デイリーメール』など複数のイギリスメディアが伝えている。

 アーセナルの下部組織出身のスミス・ロウは、ライプツィヒやハダースフィールドでの武者修行を経て、2020年8月に正式にトップチーム昇格を果たした。ミケル・アルテタ監督の下で徐々に出場機会を増やすと、背番号「10」を託され臨んだ2021-22シーズンは公式戦通算37試合に出場し11ゴール2アシストと躍動。チーム内で中心的役割を担った。

 しかし、さらなる活躍が期待された今シーズンは、9月に慢性的な痛みを抱えていたそけい部の手術に踏み切ると、年明けまで戦線を離脱。復帰後も本来のパフォーマンスを発揮できず、ベンチを温める試合が続き、シーズンを通して公式戦通算14試合出場2アシストというほろ苦い結果に終わった。

 来シーズンのタイトル獲得、そして2016-17シーズン以来のチャンピオンズリーグ(CL)に向けて、来たる夏の移籍市場での積極補強を計画しているアーセナルは、資金捻出を目的とした既存戦力の売却も検討。一部では、現行契約を2026年6月末まで残しているスミス・ロウについても今夏の売却の可能性があり、かつてアーセナルを指揮したウナイ・エメリ監督率いるアストン・ヴィラが関心を寄せているとも報じられていた。

 しかし、今回の報道によると、アーセナルに同選手を放出する意思はなく、今夏はクラブに残留することが濃厚となっているようだ。チームを率いるアルテタ監督はスミス・ロウの能力を高く評価しており、来シーズンの戦力の1人に数えている模様。クラブとしては、同選手が6月下旬開幕のUEFA U-21欧州選手権にてイングランド代表の主軸として活躍し、新シーズン開幕前に本来の調子とフィットネスを取り戻すことを期待しているようだ。

 マンチェスター・Cの後塵を拝し、19年ぶりのリーグ制覇を逃したものの、“名門復活”を印象づけた今シーズンのアーセナル。さらなる飛躍に向けて、“10番”を背負う生え抜きMFの完全復活が待たれるところだ。