東京・池袋にスタッフが“全員探偵”というユニークなカフェがある。ネガティブなみられがちな探偵という職業をもっと身近に感じてほしい。そんな思いで作られたカフェを柴田阿弥キャスターが取材した。
柴田キャスターが訪れたのは、本物の探偵事務所が運営するカフェ＆バー「探偵カフェ・プログレス」。マスターの鈴木さんもこの道23年のベテランだ。
店内にはフォトスポットのほか、探偵が使う道具が並んでいる。探偵モノの作品が好きだという柴田キャスターも興味津々だ。
お店の売りはBARタイム限定のアクティビティ。誰でも気軽に探偵気分を味わうことが出来るという。
「私も探偵になりました！今日から私の事はホームズ柴田と呼んで頂ければと思います」
柴田キャスターも探偵に変身。衣装に身を包み、店内に仕掛けられた盗聴器を発見する「盗聴発見」に挑戦した。
鈴木さんによると、盗聴器のメカニズムはカラオケの「ハウリング」と同じだという。
「マイク（盗聴器）がスピーカー（受信器）の音を拾い、アンプで増幅された音が再度スピーカーから出力、この無限ループでハウリングが起こる。同じ原理で、盗聴器に受信器を近づけるとハウリングするため盗聴器を発見できる」
使い方も教わり早速挑戦。ホームズ柴田は店内に隠された盗聴器を探し出すことはできるのか。
スピーカーを握りしめ、悪戦苦闘しながら続けること10分…。ついにハウリングする音を察知し、盗聴器を発見することが出来た。
この他にもアクティビティは「指紋採取」などがある。使い方は、特殊な粉末を証拠物のスマホに付着させ、指紋を採取し、店が用意した容疑者リストの指紋と照らし合わせ一致させるというものだ。
そして「探偵カフェ・プログレス」では、アクティビティだけでなく料理も注目だ。そのイチオシメニューは、ワニの手が丸ごと入った「ワニの手のシチュー」。
実食した柴田キャスターは「あっさりしてて、鶏肉みたい。全然臭みが無く、全体的にプルプルしている」と述べ、満面の笑みを見せた。
気軽に探偵気分を味わい、知ることが出来る探偵カフェ。オープンのきっかけについて鈴木さんはこう話す。
「ドラマや映画、漫画などで、年何本も探偵をモチーフにした作品があって、好きな方もいると思うが、リアルに探偵をやっていると、『そんな仕事やっていて大丈夫なの？』と“悪の組織”と勘違いする方が多くいる。この状態だと、何か困った時に探偵に相談する気にならないのではないかと感じた。怪しい組織と繋がってなく、会社として、サービスとして、職業としてやっているということを一般の人に知ってもらうために始めた」
そんな思いから、約10年前にオープンしたという探偵カフェ。利用客の9割以上が、女性で占められているという。
以前は探偵を取り締まる法律がなかったが、2007年に「探偵業法」が施行され、探偵業を営む際には公安委員会への届け出が必要となり、場合によっては営業停止など行政処分が下されるようになった。あくまで、法の範囲内で探偵業を行っているという鈴木さん。法律ができたことで、悪質な業者はほぼいなくなったものの、探偵へのネガティブなイメージはまだ払拭出来ていないという。
もし、相談したい際はどのように事務所を見分けるといいのか。
「まず電話してみること。探偵業法の関係もあって、（契約書の）すべての内容を理解してもらい、契約する必要がある。契約時は、面談という形で直接会って調査のメリットやデメリット、どのくらいの金額なのかなど、すべて説明されるので、その際の担当の対応や、その方を見て信用できるかどうかを判断してみて」
まさに、「探偵はカフェにいる」。恋愛相談のために来店、または探偵の裏話を聞くために、なんて理由でも。誰でも気軽にカフェを訪ねて欲しいと、鈴木さんは話す。
「探偵社も色々あるが、皆さんが思っているような怪しい組織ではなく、あくまでもサービス業。何か困った時に相談に行く所。正直、一生関わらないのが一番ではあります。ただ万が一、困った時に相談してもいいということを知ってほしい」
探偵カフェの取材を受けて、慶応義塾大学特任准教授の若新雄純氏は探偵の在り方についての見解を述べた。
「目立ってはいけない、街中にいたとしても存在を認識されてはいけないのが探偵。探偵は、本当に困った人とか、どうしようもない状況から抜け出したい人のための裏方である」
アニメや映画のイメージとは異なる探偵。鈴木さんが話すようにお世話にならないこと一番だ。探偵の利用の仕方について若新氏はこう話す。
「トラブルを解決するためや、関係を清算・遮断するため、自分一人の力では厳しい時に頼るのはいいと思う。ただ、信頼関係ができている人に対して、『安心したいがために』素行調査をするのはやめた方がいい。嘘と言い訳がないから信頼できるのではなくて、この人のことを信じたいとか、すべて本当のことを言ってるとは限らなくても、お互いに頼れて必要とされているという関係を作っていくことが大事」
（『ABEMAヒルズ』より）
