終始やられっぱなし、地獄のボディ攻めに座り込んで悶絶ダウン。ほぼ“負け確定”の状況から生み出された奇跡の逆転ワンパン失神KO劇。諦めずに立ち上がる姿にすっかり応援モードだった実況が、まさかの展開に「大逆転、これが格闘技だ！」と絶叫。興奮を爆発させた。
6月2日にタイ・バンコクで開催された「ONE Friday Fights 19」。パンリット・ルージョメイサイワーリ（タイ）とフェルザン・チチェキ（トルコ）の一戦は、3ラウンド、左のショートフックでチチェキが奇跡的な大逆転KO勝利。2ラウンドまで攻めに攻めたパンリットを一発のパンチで衝撃失神に追い込んだ。
試合はKO率80％の“ミスターノックアウト”ことパンリットの独壇場だった。序盤こそ大きなフレームを活かしてチチェキが真っ向勝負を挑んだものの、パンリットの強打と圧に終始翻弄される苦しい展開。
2ラウンド、パンリットのさらなる打撃地獄が幕を開ける。試合を終わらせようとボディへのミドル、ボディブロー、ヒザと徹底した腹への攻撃。ラウンド終盤にはチチェキの蹴りを掴んで腹にボディーストレートを一発。片足立ちの状態でボディを打ち抜かれたチチェキはたまらずに座り込んでしまう。
気力で立ち上がるが、さらにパンリットがボディへの無慈悲な攻撃で追い打ち。吐きそうな顔でグッと堪えるチチェキに「アゴ浮いてる」「もう無理するな」と同情的な声が。そんな状況にABEMA実況の小出アキラ・アナウンサーも「チチェキ辛そう」とポロリ。ゲスト解説を務めた現修斗世界ストロー級王者・新井丈は「チチェキは耐えて耐えて一発を狙っていると思う」とコメントするも、この時点では限りなくその可能性の低いと思われた。
しかし、奇跡的な逆転劇で幕を閉じた3ラウンドのゴングが鳴らされる。依然としてパンリットの圧が強い。チチェキがパンチで応戦すると、スリップぎみにパンリットが倒れ、この試合を通してはじめてチャンスらしいチャンスが生まれる。
すぐに立ち上がったパンリットは、そんなチチェキの希望を打ち砕くように一気に距離を詰めると、パンチの連打で畳みかける。と、攻撃一辺倒のパンリットに対して、チチェキが左のショートフックのカウンターを一閃。テンプルを打ち抜かれたパンリットは真っすぐに崩れ落ちが、ロープ外に飛び出して失神。ピクリとも動かず試合終了となった。
起死回生、一撃必殺…そんな言葉が似合う大劣勢からの逆転KO劇に新井は「無理だ無理だ無理だ」と驚きの声を上げ、実況は「大逆転、これが格闘技だ！」と絶叫。スローリプレイを確認すると、テンプル付近に当て眠らせる技ありのショートカウンター。負けモードからの、あまりにもミラクルな衝撃KO。新井はさらに「いや～、参った。諦めないって大事ですね」としみじみ語った。
