「かなりお店としては死活問題。間違いなくお店は閉めないとやっていけないだろうという状況だった」
こう振り返るのは、青森市にある「青森居酒屋いい友」店主の櫻庭康さん。青森産のホタテや地鶏など、地元食材を使った和食が人気の店だが、5月21日、突如として「低評価クチコミ」が届いた。
「クチコミが書かれた時、Googleさんからメールで通知が来るようになっているが、それがいきなり40件ぐらい一気に。お店のことに全く関係ないメッセージが入った『星1』の評価が大量に届いていた」
評価レビューは、「妹のミリアムに会いに来て下さい」「私はビーガンマニアです」などの日本語に翻訳されたメッセージとともに、「星1」の低評価がつけられた。送り主はイスラエル人。櫻庭さんによると、こうした嫌がらせメッセージが1時間に約40件届き、これまで平均4.5あった評価は一時2.1まで下がってしまったという。
この投稿が行われる前、「Googleサポート」を名乗る女性から「お金を払えば『クチコミ』の評価を上げることができます」という電話が店にあったが、不審に思い断っていた。
ITジャーナリストの三上洋氏は「コメントをコントロールできますよ」「削除しますよ」と言う時点で、ガイドライン違反の悪質業者であることが明白だと指摘する。
「第三者の業者、もしくはお店がクチコミをコントロールすることはできない。そこを悪用しているのが今回のような業者。書き込みは日本語がわからない人がやっているが、営業は電話でやっているだろうから、なんらか日本と関係のある業者がやっている可能性がある」
三上氏によると、これらの悪質業者はGoogle広告にも、「あなたのマップ上の評価を上げます」「悪いクチコミ対策をします」と広告を出しているそうだ。故意に店の評価を下げ、その救済法として多額のお金を搾取する悪徳詐欺が横行しているという。コメント数が少ない小さな店ほどダメージは大きくなるため、犯罪グループが標的にした可能性もあると指摘。
『ABEMA的ニュースショー』がGoogleに取材すると、以下の回答が返ってきた。
「Googleマップチームは、不正なクチコミを行うユーザーや、詐欺集団による攻撃を阻止し、不正なクチコミを削除したり、影響を受けている事業主がいる場合は、企業プロフィールを保護するため、24時間体制で取り組んでいます」
櫻庭さんはすぐGoogleに報告し、不審な投稿はほとんど削除された。実害はさほどなかったものの、一時はストレスで店を閉める覚悟もしたという。
「ネットのいたずらクチコミに負けず頑張ってくださいとか、事件後に応援を兼ねて来店していただけるお客様がだいぶ増えた。今まで自分が入れなくなるのを懸念して投稿していなかった常連のお客様からも、今回の事件のニュースを見て『やっぱ書かないと駄目だね』という声をいただいている」
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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