6月7日、週刊プレイボーイ編集部が画像生成AIで作成したグラビアアイドルのデジタル写真集が販売終了となった。一体何が“アウト”だったのだろうか。理由を深掘りした。
画像生成AIなどを駆使して誰もが簡単に架空の人物を生み出せるようになるなか、アイドルの登竜門の1つ『週刊プレイボーイ』から誕生したのが「AIグラビアアイドル・さつきあい」だった。
デジタル写真集が発売され、読者からも挑戦を歓迎する声が上がっていたものの、数日後に販売終了が発表された。
実はネット上では、さつきあいをめぐって様々な指摘が。
「学習に使われた画像の権利関係はセーフなのか?」
「今までお世話になってきたグラビアアイドルやカメラマンを裏切るようなことはやめて」
生成AIをめぐる著作権の問題や、生身のアイドルや関係者の活躍の場を奪ってしまう可能性を危惧する声。さらには「さつきあいは実在するアイドルに似ている」などの反応も寄せられた。
大きな可能性を秘めているものの商業化への課題は多い。週刊プレイボーイ編集部は、販売終了の理由についてこう説明した。
「本企画について、発売後よりたくさんのご意見を頂戴し、編集部内で改めて検証をいたしました。その結果、制作過程において、編集部で生成AIをとりまく様々な論点・問題点についての検討が十分ではなく、AI生成物の商品化については、世の中の議論の深まりを見据えつつ、より慎重に考えるべきであったと判断するにいたりました」
このニュースについて、『ABEMAヒルズ』に出演したニュース解説YouTuberで「The HEADLINE」編集長の石田健氏は「(生成AIをめぐる)著作権については、取扱いが難しい問題がある」として、次のように解説する。
「例えば、有名キャラの画像を読み込ませて似たようなキャラクターを生成した場合は明確に『アウト』と思えるだろう。しかし、アメリカの著作権にある“フェアユース”という概念には『学術利用だったらオッケー』という考えがある。また、『OpenAI』は非営利団体も会社として持っている。そこで培った技術を商業的な会社で使えばどうなるのかという問題もある。まだまだ“グレーゾーン”は多い。
AIグラビアについてもこれまで同様に楽しめる人もいれば、そうでない人もいるだろう。生身のアイドルの仕事を完全に奪うことはないと思ってはいる。しかし、いわゆるグラビア画像よりも“過激な衣服やポージングを作ること”はできてしまうので、そうなった際にそちらを好む人が通常のグラビアにお金を使わなくなる懸念はあるだろう。それに、学習データに使われた人の人格権の問題も生まれるのではないか」
続けて、石田氏は「グラビアアイドル以外の人も学習データに使われてしまう可能性」を指摘した。
「水着などのグラビアを絶対にやらない人に水着を着せたような“ディープフェイク”であれば『あの女優に似てる』というやり方で作るので、ある種罪にも問いやすい。だが、作る過程がブラックボックスで出来ている生成AIだと『アウトプットがたまたま似ているだけ』という“言い訳”ができてしまう。罪に問えるかも際どいラインだ。
今回は大手の出版社が踏み切った行動が批判を受けた。しかしながら、こうした問題の解決に向けては、出版社も著作権などの議論に積極的に参加することが望ましいのではないか。『批判を受けたから2度とAIの話題には触れないようにする』とはならないでほしい」
(『ABEMAヒルズ』より)
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