立ち上がった瞬間に一気に極める速すぎてわからないチョーク葬に実況席も騒然。日本屈指の寝技の名手も「完璧、立った瞬間に入れてた」と唸る一本勝ちだった。
6月10日にタイ・バンコクで開催されたONE Championship「ONE Fight Night 11」で、マンスール・マラチエフ(ロシア)とジェレミー・ミアド(フィリピン)が対戦。試合は1ラウンド、マラチエフがダースチョークで技ありの一本。最強選手を次々と輩出する“格闘ファンには響く国”・ダゲスタン共和国出身のファイターがONE衝撃デビューを飾った。
ONE初参戦のマラチエフは10戦無敗と未知の強豪。対戦相手はONEで4連勝中で、KO勝利を積み重ねてきたストロー級随一のストライカーであるミアド。新顔の査定マッチとしては申し分ない強豪が用意された。
過去の試合で“90%チョークで一本”のマラチエフ。ABEMAゲスト解説で日本を代表するグラップリングの名手・竹浦正起が試合前に語った「いくらアゴを引いていても力で頸動脈を締め上げるチョーク」の前評判は大げさではなかった。
リング中央で打撃戦と見せかけてマラチエフは、ファーストコンタクトから低空タックル。一気にミアドをコーナーポストまで追し込んでいく。ここは簡単にブレイクするが、再び組んでテイクダウンすると巧みに相手をコントロール。ミアドも負けじと立ち上がるなど、短時間で攻守が目まぐるしく入れ替わる。
”打撃のミアド”と“寝技のマラチエフ”…双方のキャラクターは対照的だ。マラチエフは再び低空タックルで相手をコーナーポストに押し込むと、体を密着させる。しかし、寝技と見せかけ、強烈なヒザを一閃。一瞬怯んだミアドが立ち上がろうとした時だった。マラチエフが中腰状態で瞬時にセットしてクビを巻き込むダースチョーク。
ロープに掛かった相手の足をヒザで挟みこんで自由を奪い、一気に締め上げると、ミアドは唯一動かせる右手でたまらずタップ。試合終了となった。
電光石火のチョークであれよと言う間に一本取られてしまったミアドは事態が読み込めないのか、放心状態で体育座り。竹浦正起も「セットアップが凄く速い。完璧ですね。組むまでが難しいワザなのに相手が立ってこようとした瞬間入れていた。相当得意なワザなんでしょう」と驚嘆。実力ある日本人選手が多いストロー級に突如現れた戦闘民族ダゲスタン・ファイターに実況の西達彦アナウンサーも「ブルーオーシャンだったところに外来生物がやってきた」と警戒を示していた。