2018年10月から放送された電撃文庫(KADOKAWA刊)原作のTVアニメ「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」が、2023年4月から再放送されている。TVアニメの続きとなる劇場アニメ「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」は2019年に公開されスマッシュヒットを記録。
2023年6月23日からは劇場アニメ「青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない」が公開され「青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない」の劇場公開も決定している「青春ブタ野郎」シリーズでは、神奈川県・藤沢を舞台に、思春期特有の感情が「思春期症候群」と呼ばれる不思議な現象として現れてしまう青春ドラマが、繊細な心情描写とともに描かれていく。
いじめがきっかけで別人格の「かえで」となって、2年間家から一歩も出ずに過ごしていた「花楓」。TVアニメ終盤にて本来の花楓の人格に戻ったものの、かえでとして暮らしていた日々の記憶は人格が消えるとともに失われてしまっていた。「ゆめみる少女の夢を見ない」にて、花楓は咲太や麻衣とのふれあいを通じて、徐々に本来の暮らしを取り戻していく。
続編となる「おでかけシスターの夢を見ない」では、花楓が咲太の通う峰ヶ原高校への入学を目指し、決意とともに歩み出していく物語が描かれていく。
「おでかけシスターの夢を見ない」の公開に先駆け、主人公・梓川咲太(あずさがわ さくた)役の石川界人、桜島麻衣(さくらじま まい)役の瀬戸麻沙美、梓川花楓(あずさがわ かえで)役の久保ユリカにインタビューを行った。
これまでのアニメシリーズの反響を聞いてみると、石川からは「もともと原作ファンの方が多い作品でしたが、「ゆめみる少女の夢を見ない」を公開時に何十回もリピートしてご覧になったという方もいて、それほどまでに何度も見て記憶に刻みたくなるようなお話だったのだと感じています」との回答があった。
久保からも「前回の劇場公開からしばらく期間があったのですが、まったく別の現場で本作に関係のないスタッフさんたちからも「青ブタを見てました!」というお声をいただいて、本当にいろいろな方に愛されている作品だと思いました」とあり、ファンのみならずアニメ業界内でも高い評価を得ていることが窺えた。
TVシリーズと劇場版にわたって描かれている「青春ブタ野郎」シリーズならではの魅力について、瀬戸は「TVアニメでは、麻衣さんをはじめ登場人物たちひとりひとりの思春期症候群に丁寧に向き合って、1話ずつ構成されていました。ED曲もエピソードごとにスポットが当たる登場人物が歌っているなど、より引き込まれる作品になっていたからこそ、劇場でも見たいと思ってくれてたくさんの方が足を運んでくれたのだと思っています」と語る。
「青春ブタ野郎」シリーズ通じての魅力について、石川にも尋ねてみる。「思春期特有の悩みというものを大人に相談したときに、そういうのは大人になったら自然に解消していくものだよとか、小さな悩みだよと言われて切り捨てられてしまうこともあると思うのですが、そこにきちんと向き合って解決に尽力しつつ、寄り添ってくれる作品だと思います」と明快に答えてくれた。
続けて「まもなく公開となる「おでかけシスターの夢を見ない」は、よりその傾向が強くなっています。高校受験をはじめさまざまなことに悩む花楓がいて、まわりの大人たちがどう尽力していくのかというところを見ていただきつつ、何よりも花楓本人がとてもがんばっているところに注目していただきたいです」と見どころを解説。
かえでと花楓という2人の人格を演じてきた久保は「私個人としては、生っぽさがあるところがすごく好きです。成功体験とかそういう綺麗なことだけではなくて、泥臭いような失敗やつらいことなどあった上で、嬉しい涙も含めてたくさんの涙を流すことが、少年少女たちの成長する過程でつきものだと言いますか。
それぞれ苦しい理由はあるけれど、その涙はとても美しいです。そういうところが、皆さんにも刺さっている部分なのかなと思います」と「青春ブタ野郎」シリーズの魅力について話してくれた。
最後に久保からは「本作も胸が熱くなるお話になっています。予告編でも花楓が涙を浮かべていますが、その涙と成長を見守っていただけると嬉しいです」とメッセージをいただいた。
繊細な心情描写と切なさも含めた青春ドラマが丁寧に描かれる「青春ブタ野郎」シリーズ。劇場アニメ最新作「青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない」は6月23日公開となる。花楓にスポットを当てた物語の行く末を、ぜひ劇場で確かめてほしい。
「青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない」
2023年6月23日劇場公開
【公式HP】https://ao-buta.com
【Twitter】https://twitter.com/aobuta_anime
(C)2022 鴨志田 一/KADOKAWA/青ブタ Project
取材・テキスト・写真/kato