素早くスウェイし、頭を振ったところで拳と正面衝突。まるで交通事故のような一発に腰が砕け大の字でダウン。ピクリともしない壮絶なKOシーンだった。
タイ・バンコクで開催されたONE Championship「ONE Friday Fights 20 」。ビクトル・テイシェイラ(ブラジル)とコンタイランド・ギアットナービー(タイ)の対戦は2ラウンド終了間際、テイシェイラが右ストレートでノックアウト。期待のムエタイ現役王者を失神に追い込むアップセットを演じた。
いま最も勢いのある現役ルンピニー王者であるコンタイランドの注目のONEデビュー戦は、衝撃的な失神KOによるほろ苦いものとなった。
1ラウンド序盤、コンタイランドはカウンターで体を浴びせるような右フックをアゴに当て、テイシェイラを吹き飛ばすなど、終始キレのある動きを見せる。しかし、テイシェイラもすぐに反撃。ハンマーのような左がコンタイランドのアゴを捉え、最初のダウンを奪う。
脳を揺らされ明らかにダメージのあるコンタイランドだが、スッと立ち上がり復帰。その後は蹴りとクリンチで何とか第1ラウンドを乗り切る。
2ラウンド、ギアを上げたコンタイランドは、蹴りとフックをぶん回しながら猛攻を仕掛けるが、ガードが甘く、やや隙が目立つ。捨て身のコンタイランドは飛び蹴りなどダイナミックな攻撃で流れを変えようと試みるも、前ラウンドからのダメージの蓄積か、攻撃に力はない。それでもルンピニー王者の意地か、嵐のようなパンチのラッシュ、ヒジ、ハイと魂の猛攻を見せる。
しかし、衝撃的なクライマックスは突如訪れた。前蹴り、ミドルなどでコンタイランドが主導権を取り戻すかに見えた2ラウンド終了間際、テイシェイラの打撃にスウェイを見せたテイシェイラの顔面に狙いすました右ストレートが直撃。コンタイランドは後ろに倒れ込み失神、大の字のままピクリとも動かずレフェリーが即座に試合を止めた。
この日のABEMAゲスト解説を務めた雅駿介は「あ~終わった…頭を振ったところに貰ってしまいましたね…」と解説。その指摘どおりコンタイランドが素早くスウェイしパンチを交わしたかに見えたが、勢いよく首を大きく振ったところに拳が飛んできて正面衝突。
不運だったのか、なるべくしくなったか…さながら交通事故のような一発に沈んだ敗者に、視聴者からも「避けた方に当たった」「全くガードしないから」「(勢い余って)倍の衝撃だっただろう」といった声が寄せられた。