「偏差値45」田舎の公立校→AI領域で内閣総理大臣賞 成田悠輔の若き創業パートナーの「環境を乗り越える力」
【映像】「受験でも研究でも逆転」齋藤さんの勉強法とは?
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 経済学者の成田悠輔氏と共にスタートアップを立ち上げ、ZOZO研究所との共同研究では内閣府主催のオープンイノベーション大賞で内閣総理大臣賞を受賞。そんな若き研究者を取材した。

【映像】「受験でも研究でも逆転」齋藤さんの勉強法とは?

 機械学習のスペシャリスト、齋藤優太さん(25)は現在、アメリカ屈指の名門、コーネル大学の博士課程で学ぶ。そのルーツはごく普通の公立高校、偏差値は45だったという。

 当時市内に高校は2つだけ。大学受験に向けた予備校も近くになかったため、参考書を買い独学で勉強していたという。さらに、学校の授業のペースでは受験に間に合わないと感じ許可を得て授業中に自習を続け、目標の大学に合格した。

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 独学で東京工業大学に合格するほどの秀才だったが卒業には苦労したという。その理由は、研究。統計学や機械学習に興味を持った齋藤さんは、大学の外に軸足を移し自主研究に没頭していた。

「研究者とか、ある研究分野に興味がある人たちが集まった勉強会に参加して発表を繰り返しているとだいぶ目立ってくるんですよね。また、技術的なブログを書いて発信すると、その分野の中では有名になるので、そういう活動を通じていろんなコネや繋がりを早い段階から作ったことが、今の共同研究にもつながっています」

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 気づけば、SONY、Yahoo!JAPAN、ZOZO、CyberAgentなど、名だたる企業の研究機関と関わることになった。齋藤さんがメインに取り組んでいる研究が「反実仮想機械学習」と呼ばれる分野だ。

「起こり得たけど、実際に起こらなかった状況や世界のことを『反実仮想』と言います。大学進学や受験で例えると、自分は高校卒業した段階で東京工業大学を受験したという変えられない事実がある。その段階で他の大学を受験する選択肢を取ることはできたと思うが、実際には取らなかった。まさに反実仮想的な状況ということになります。東京工業大学に進学した結果、今25歳の段階でどういう状況にあるか事実としては観測されているが、仮に過去にさかのぼって他の行動をとっていた場合に、同じ25歳の段階でどういう状況になっていたかは観測し得ないわけです」

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「しかし、他の似ている人で違う大学に進学した人はいるかもしれない。このように、別の人がどういう意思決定をしてどういう結果をたどっているかというデータをうまく統合することによって、反実仮想の状態をうまく推定、予測してあげようというのが反実仮想機械学習が技術的にやろうとしていることです」

 過去のデータを用いるため大規模な実験を行うことなく、広告の効果などあらゆる施策の結果などを推測することが可能になる。また、ビジネスの分野だけでなく医療や教育など幅広い活用が期待されている。

「医者の例で言うと、ある患者にどの薬をどの順番で、どのくらいの量を投与すればいいのか、過去のデータに基づいてどの意思決定がいいのか比較した上で最適化できます」

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 田舎の公立高校から新たな分野の第一線の研究者となったこれまでの道のりについて、齋藤さんはこう振り返る。

「不利な状況でも、自分で考えて実行すればある程度うまくいくという成功体験は得られている。結局うまくいくにしても失敗するにしても全部自分のせいだと思っているので、環境のせいにしない。例えば大学で自分がやりたい研究ができる研究室が無くても『自分で研究すればいいよね』って割り切っている」

 成田氏と齋藤さんの共同創業についてプロデューサーで慶應義塾大学特任准教授の若新雄純氏に話を聞いた。

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「僕は自分が表に出たいタイプなので、スポットライトを浴びたい人と創業パートナーになると絶対に上手くいかない。仕事で組むときは影に徹することを楽しめる、むしろ表になんて出たくないという人と上手くいく。齋藤さんは写真が好きで風景が上手に撮れる人。このタイプの人は自分を『世界を観察する媒体』と捉えていて、周囲に広がる外側の世界に関心を持っていてスケールが大きい研究ができる。僕とは全く真逆の補完し合える人だ。僕はそういう人とは今まで仲違いしたことがほとんどない」

(『ABEMAヒルズ』より)

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