警笛を鳴らす列車の脇を3人組が走っていく。列車が緊急停止すると、3人組は近くに置いていた荷物を持って、一目散にその場を猛ダッシュで逃げ去った。
接触事故にもなりかねない非常に危険な行為に、鉄道オタク歴20年のうなふぃすさんは「列車を止めてしまっているので、一番やっちゃいけない行為だ」と話す。
「きれいに写真を撮ってSNSに投稿して、承認欲求を得る人はいる。線路内に入ってカメラを構えている人を何度も見かけた。一方で、マナーを守って撮って『一緒にされたくない』と思う人は大勢いると思う。撮らせてもらっている気持ちを忘れないで、周りに迷惑をかけないことを最優先にして、自分の趣味を楽しむことが一番いいと思う」
私有地に勝手に入るなど、ルールを守らない撮影者がSNSによって可視化されるようになった。それによって「撮り鉄=マナーが悪い」というイメージになり、肩身の狭い思いをしている鉄道ファンも少なくない。実際にネットでは「撮り鉄のせいで規制かけられて音鉄まで迷惑被る」「撮り鉄“だけ”が鉄道の通行を妨げる」など、“一緒にされたくない”という声が寄せられている。
日本各地にくすぶる“一緒にされたくない論争”の火種は様々だ。
先月行われた「広島G7サミット」では、岸田総理が広島のお好み焼きを世界にアピールしたところ、ネットでは「広島のがお好み焼きとして世界に広まるのはまずい」「お好み焼きは大阪。広島のは日本風ピザ」といった論争が勃発した。
全国で最も高いライバル意識(※ソニー生命保険調査)がある鳥取県と島根県も例外ではない。
新日本プロレスの棚橋弘至さんのモノマネ“棚ボタ弘至”こと、鳥取県出身の芸人・岩ちゃんは「山陰をアピールしているのは絶対僕たちだ。島根はいつまでたっても出雲大社の一本槍だ!」と話す。
一方で、島根県民で山陰地方の情報を発信する「タウン情報ラズダ」編集長・べーやんさんは「鳥取の人は『砂丘がある』と言うが、出雲大社には敵わない」と主張。「僕は正直そこまで強いライバル心は持っていないが、国の調査発表やテレビ番組などで鳥取と間違えられるとショックだ」と述べる。
ネットを見ると「いずれ鳥取と島根は合併すると思う」「鳥取と島根が合併してくれたら、どっちがどっちだったか悩まなくて済む」などの声が寄せられている。実は、鳥取県は100年以上も人口が全国最下位であり、今年4月には戦後初めて54万人割れした。島根県も人口が全国ワースト2位だ。2016年の参院選からは選挙区も統合され、鳥取と島根で一つになった。実際に明治時代、島根と鳥取は一度合併し、すべて島根県になった時期もある。もはや合併したほうが行政もスリム化し、メリットも多いのではないか。
これに、岩ちゃんは「絶対に合併は嫌だ」と反論。
「島根の力を借りなくても、我々は独立してやっている。明治時代の合併で、県の中心が松江や米子のほうにいってしまった。鳥取市は相当ないがしろにされた。僕たちは鳥取市出身なので『また同じ歴史を繰り返すのか?』という思いがある」
実際に、県庁所在地は鳥取市だが、人口密度は米子市のほうが約2倍と高い。また、島根の出雲や松江に行く人が、鳥取の米子空港を使うなど、現状では持ちつ持たれつの関係だ。この現実に岩ちゃんは「いや、こっちが助けている。お互いじゃない」と不満げだ。
世代間でもライバル意識は違うのか。べーやんさんは「若い子よりは40〜50代の人がそういう意識を持っている印象はある」と答える。
「『どちらの県が先にチェーン店ができるか』みたいなところも含めて『負けたくない』と思う人はいると思う。松江、出雲、米子は交通の便の関係で行き来もあるので、そこはひとかたまりだ。あとは鳥取の東部、島根の西部で、どちらかと言うと3分割しているような感じだ。高校野球だと両県の高校を応援する人も多い。肩を組むところも、張り合うところもある。番組のネタとして取り上げていただく機会もあるので、やっぱりこれからもそれぞれで仲良くしたり、張り合ったりしていければいいなと思う」
(「ABEMA Prime」より)
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