交流戦も終盤を迎え、ますますもって両リーグともリーグ戦の再開が待ち遠しいと感じている野球ファンも少なくないと思うが、今季、ここまで繰り広げられた各チームの戦いを振り返ってみると、トレードやFAなどによって移籍した選手たちが、数多く新天地での活躍を見せていることが印象的だ。
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昨オフからここまで、パ・リーグでは、トレード・FA(権利行使・人的補償)現役ドラフト・トライアウトで合計24選手が新天地でプレーすることとなっているが、そうした面々の中には、ロッテ・西村天裕や、日本ハム・田中正義、江越大賀、福田光輝、西武・佐藤龍世のように、既にスポーツニュースを賑わせる活躍を見せている選手たちも存在すれば、シーズン途中で巨人から移籍するや、いきなり攻守で華々しい活躍を見せたオリックスの廣岡大志や、ソフトバンクの正捕手・甲斐拓也の途中交代や欠場時に重要な役割を担っている嶺井博希のように、長いシーズンを考えれば、チームとして貴重な戦力となることが確実視される選手たちも散見されるなど、多くのチームにおいて、現時点での「補強」は、一定の成果が出ているといえるかもしれない。
なお、この中でも、とりわけ目覚しい活躍を見せている選手といえば、既に日本ハムの“勝利の方程式”として組み込まれている“ジャスティス”こと田中正義と、開幕から21試合連続無失点を記録したロッテの西村天裕の両右腕かと思うが、田中の場合は、日本ハムの中心打者で昨オフにFAでソフトバンクに移籍した近藤健介の人的補償としてソフトバンクから加入しており、昨季までの実績だけで考えれば、これまで行われてきた多くの人的補償と同様、必ずしも近藤と釣り合いがとれているとは言い難いように思われた。しかし、蓋を開けてみれば大ブレイク。もともと“怪我さえなければ一級品”と評判であった田中が、見事、新庄剛志監督の期待に応えた形となった。また、現役ドラフトでセ・リーグの阪神タイガースへと移籍し、いきなり先発ローテーションを支える活躍を見せる大竹耕太郎とともに、ソフトバンクというチームの選手層の厚さを、改めて知らしめる形となったという見方もできるだろう。
一方、そんな日本ハムから開幕前にトレードでロッテに加入した西村も、ロッテ入りを機に大ブレイク。投手出身の指揮官・吉井理人監督からのアドバイスを元に、持ち味であるストレートを磨き、また、海を渡って3年ぶりに復帰し、「それぞれが自分を出せるように」という想いを身をもって示している先輩投手・澤村の好影響もあってか、顎ヒゲをたくわえ、日ハム時代よりもかなりワイルドな雰囲気となった上で、いきいきと活躍している姿も印象的だ。また、そんな西村とのトレードで日本ハム入りした福田光輝も、まだまだ荒削りな部分があるとはいえ、既に2本塁打を放ち持ち前の長打力を垣間見せ、首脳陣にとっては実に楽しみな存在として注目を集めている。こちらも両チームにとってWin-Winのトレードであったといえるだろう。
無論、パ・リーグ全体で20人以上の選手が、このような形で移籍していることを思えば、「比率」の話としては、必ずしも多いとは言えないが、それはあくまで現時点での話。いずれもその将来を嘱望されてプロから指名を受け、そして、別のチームからポテンシャルを期待される形で移籍している面々だけに、引き続き、その活躍に期待しつつ、注視したいところだ。