ほぼ組みの状態が延々と続いた凡戦に突如、終止符を打った衝撃の鬼パウンド5連発TKOに場内のファンが騒然。直後に披露した、10分以上戦いを終えた直後とは思えない打点の高い美しいバク宙に場内が再び沸くと、その“フィジカルお化け”っぷりに「すげぇ…広背筋」と現役選手もドン引きした。
6月16日にタイ・バンコクで開催されたONE Championship「ONE Friday Fights 21」でアディレット・ヌルマトフ（キルギス）が レオナルド・カゾッティ（ブラジル）と対戦。3ラウンド、突如として試合を決めたヌルマトフの嵐のようなパウンドの連打にカゾッティが戦意喪失。ヌルマトフがTKOを収めた。
グレコローマン・レスリングからMMAに転身したグラップラーのヌルマトフ。対戦相手は前回試合で3日前にオファーを受けONE緊急デビュー。しかも相手が元王者マーティン・ニューイェンというなかなか厳しい戦いを経て、ONE2戦目を迎えるカゾッティ。ともに真価が問われる試合だ。
1ラウンドは終始レスリングベースのヌルマトフが主導権を握った。オープニングラウンド、組んでヌルマトフが上を取るとカゾッティも下から狙う。その後もヌルマトフがバックからチョークを狙うが、カゾッティも極まる寸前でゴングに救われる。
2ラウンドも組んでバックのヌルマトフに、下からヒール狙いのカゾッティ。その後はトップポジションで膠着状態のヌルマトフに対し、防御一辺倒となったカゾッティは完全に息切れぎみだ。
3ラウンドもヌルマトフが早々に足を払いトップでの攻防。「またか…」「カゾッティはもう疲れ切っている」など視聴者からも前ラウンド同様”ズルズルと塩漬けのまま時が過ぎる”そんな諦めにも近い空気が流れていたが、このラウンドのヌルマトフは違った。
トップポジションからガツガツとヒジ鉄を叩き落とし、首を固定すると…突如として狂暴化。1発、2発、3発、4発、5発と強烈なパンチが顔面を捉えると“グシャ”と嫌な音が響き、レフェリーが慌てて体を張って止めに入り、ここで試合終了となった。
レフェリーに抱えられ虚ろな目で天を仰ぐ敗者・カゾッティとは対照的に勝ったヌルマトフは、1試合終わっても体力が有り余っている様子。カメラに向かってドヤ顔で髪を整えファイティングポーズを取ると、打点の高い美しいバク宙で「まだまだ元気だぜ」と“フィジカルお化け”ぶりをアピール。ヌルマトフがパウンドTKOで一度沸いた場内をバク宙で2度沸かせると、解説を務めた中田大貴は「すげぇ…広背筋」と思わずこぼした。
