「娘の部屋から数百万円が」子どもの素行調査依頼が急増…背景は? 親は子をどこまで信じるべきか
【映像】子どもの素行調査依頼が急増…親はどこまで信じるべき?
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 今、子どもの行動を調べる親が年々増加している。総合探偵社MRによると、5年前と比べて子どもに関する調査依頼が3倍以上に増加したという。

【映像】実際にあった「闇バイト」の例(画像あり)

 ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した、総合探偵社MR代表の岡田真弓氏は「コロナ禍になってから特に依頼が急増している」と話す。

「夜に飲食店が開いていなかったら、普通は家に帰ってくる。『なぜ帰ってこないのだろう』『何をしているのだろう』と過剰に子どもの行動を気にしてしまう親が増えた。実際に、急にブランド物のバッグを持つようになった、お金遣いが荒い、夜遅くに帰ってくる、外泊が増えたなど『何か今までと様子が違う』『悪いことをしているんじゃないか』と思って、相談に来る親もいる」

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 岡田氏によると、調査対象者の年齢は「幼少から40代ぐらいまで幅広い」という。

「高齢化社会になって、70代のお母様から『40代の息子がどのような異性と付き合っているのか調査してほしい』という依頼もある。やはり15歳以上が一番多い」

 中には、子どもが詐欺まがいの案件に入り込んでいた事例もあるという。岡田氏は「探偵社に依頼する段階で、親が想像している通りの結果になることがほとんどだ」と話す。

「以前、お母様から20歳の大学生の娘に関する調査依頼があった。『家の中を掃除していたら、何百万円という現金が置いてあってびっくりした』と、お子さんに聞くと関係性が悪くなるから、私たちのところに相談に来られた。実際に調査した結果、娘さんは風俗にお勤めしていて、パパ活をやっていた。その上、風俗のお客様にもストーカーをされていた。それをきちんとお伝えした」

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 調査されていることを知った子どもが逆に不信感を募らせて、親子関係に亀裂が生じることはないのか。岡田氏は「お子様からしたらちゃんと信じてほしいし、放っておいてほしい気持ちはあると思う。でも、万が一事件にでも関わってしまったら大変なことになる。親としては心配だ」と述べる。

 作家・ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「昔のように『ある程度の大学を出れば、このぐらいの就職先』みたいなレールがない。結局、いくらいい大学に行っても、自分の将来は全く分からない。そうすると、“親ガチャ”の一発逆転じゃないが『有名なホストになってやる』『風俗で大儲けしてなんとかする』といった、あらぬ方向に行くケースが多い」と指摘する。

「大学に入って一人暮らしをして、わずか数カ月でホストになって大学を辞めるケースもある。ホスト業がうまくいかないと、今度は闇バイトに手を出す。最後は強盗に入ろうとして捕まる。自分の人生の先行きが見えなくなると、足を踏み外しやすい。ここに最大の原因がある」

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 3人の子どもにさんざん裏切られた経験を持ちながら「何があっても子どものことを信じる」と話すくうさん(49歳)はどう向き合ってきたのだろうか。

「親が信じなかったら、誰が子どものことを信じてあげるのか。主人は息子を叱ったが、私は自然と『この子たちはきっと大丈夫だろう』となぜか思っていた」

 くうさんの長男はバスと事故を起こしたほか、次男は弟の顔を踏んで骨折させる、嘘をつく、窃盗などの問題行為があったという。三男も警察に補導されたほか、友人をいじめる・けがを負わせるなど、数々のトラブルがあった。

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 トラブルを繰り返し、親を裏切る子どもとどのように関わっていけばいいのだろうか。

 親の学校プロジェクト主宰の生駒章子氏は「まず親が子どもに信頼を表していく必要がある。子どもも親の信頼を感じて『あっ、親を信頼していいんだ』と思うようになる。この相互の関係で成り立っていくのが信頼関係だ」と述べる。

 つらい中でも子どもたちを信じ続け、見守ってきたくうさん。トラブルがあった時は、特に叱ることはせず、感情的にならないように気持ちとして「こう思う」と伝えるようにしたという。中でも次男は「今一番まともに働いている」と話す。

「チャランポランで地に足がついてない、まともに働くことができるのかなと思っていたが、次男が一番早く就職した。働いている姿を見たが、感動してしまうぐらい立派に集中していた。家を出ているので、いい距離感で付き合えている。長男と三男はまだ学生なので、同居して様子を見ているところだ」

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 田端大学塾長の田端信太郎氏は「親ガチャという言葉が流行っているが、むしろ子どものほうがガチャじゃないか」と指摘する。

「正直言うと、どんなに親が完璧に育てても、不幸な出来事が起きたりする。今同年代の父親同士で話すと『とにかく子どもが加害者になかったら、まあいいか』みたいな話が出る。『あとは自活してくれればいいか』ぐらいだ。親の責任がどうこうと考えると、怖くて子どもを産めない。子どもに期待したほうがいいのか、しすぎないほうがいいのか、僕はいつも悩む。本当にバランスとしか言いようがない」

(「ABEMA Prime」より)

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