ムエタイの攻防で見られる蹴り足をキャッチしてから転ばす行為よりも激しい、リフトからの露骨な投げ。さらに足を引っ張ってからの巻き込みエルボー・ドロップ…荒々しい攻防に場内盛り上がるも「あれはいいんですか?」と現役選手は困惑。実況も「MMAの試合ではない」とコメントする一コマがあった。
6月16日にタイ・バンコクで開催されたONE Championship「ONE Friday Fights 21」でエリアス・ガザリ(マレーシア/アメリカ)とジャバッド・ビグデリ(イラン)が対戦。ONE Friday Fights3戦目で1勝1敗の20歳ガザリと、前回のデビュー戦がTKO負けだったビグデリの試合は、激しい攻防の連発となった。
1ラウンド、開始早々ビグデリがガザリの蹴りをキャッチして投げ。これはムエタイでもよくある攻防だが、中盤再びビグデリが同じように蹴りをキャッチすると、足を手前に引っ張って巻き込むように倒してエルボーを投下。これにはレフェリーも「だめだめ」とブレイクする。
ビグデリの攻撃に対して、ガザリは蹴りを前蹴りに変更。相手がキャッチすると腕を払うなどして反撃に出るが、今度は蹴り足をリフトして少し静止すると、放り投げるようにスラム。相次ぐ立ち技らしからぬワザ連発にABEMAゲスト解説の中田大貴も「あれはいいんですかね…?」と困惑ぎみだ。
何度も足キャッチから投げを食らったガザリは2ラウンドに入ると、蹴りを低めに設定。ミドルを当てパンチ・ヒジで手数を稼いだものの、3ラウンドに入ると再びビグデリのリフトからのスラムを食らう。
ガザリも何度も投げられ体力の消耗を恐れたか、足を捕まれるとバックチョークのムーブで背中に乗って防御。実況席も「これはMMAの試合ではありません」と念を押すと視聴者からは「また柔道ワザ」「(ビグデリに)黒帯をあげよう」と皮肉も聞こえる。
最後までトリッキーなワザを連発したビグデリ。インパクトは残したものの「投げ」は評価されず判定負け。試合後は両者ノーサイドで互いの健闘を称え合った。