6月17日、プロレスリング・ノアが愛知県・名古屋国際会議場イベントホールで『GREEN JOURNEY 2023 in NAGOYA』を開催。“NOAHの舵取り”を自認するGHCヘビー級王者のジェイク・リーが、杉浦貴を相手に3度目の防衛戦を行った。

 今年1月からNOAHに参戦してきたジェイク・リーは、3.19横浜で“若きエース”清宮海斗を破りいきなりNOAHの至宝GHCヘビー級王座を獲得すると、4.16仙台では、NOAHの強さと怖さを体現する中嶋勝彦を破り初防衛に成功。5.4両国ではNOAHの歴史を背負う丸藤正道をも撃破し、今回、自ら杉浦を防衛戦の相手に指名した。

 杉浦が勝てば4年ぶり5度目の戴冠。身長192cm、体重110kgと現在の日本プロレス界でもトップクラスの体躯を誇るジェイク・リーと、53歳にしてまったく衰えない脅威の肉体とパフォーマンスを誇り、そのジェイクをして「怪物」と言わしめる杉浦の一戦は、凄まじいぶつかり合いとなった。

 試合は序盤からお互いの肉体を削り合う闘い。杉浦がスピアーから腹部へのエルボーでボディを中心に攻撃しジェイクのスタミナを奪いにいけば、ジェイクは脇固めから杉浦の右腕に攻撃を集中。アームロックやオモプラッタからのアームバーというMMAテクニックから、長身を利したアームブリーカーで腕を殺していく。

 場内の「スギウラ」コールを背にこれを耐えた杉浦は、カウンターのキッチンシンクで攻守逆転すると、投げっぱなしジャーマン、串刺しランニングニーを放ち、フロントネックロックで捕獲する。

 しかし、ジェイクはこれを豪快なブレーンバスターで切り返すと、ハイキックで杉浦をダウンさせ、さらにハイアングルのバックドロップ。そして必殺のFBS(串刺しフロントハイキック)を決めて勝負あったかに思われたが、杉浦は最後の力を振り絞り、逆にオリンピック予選スラムを発射。両者ダブルノックダウン状態の中、場内に再び「スギウラ」コールが巻き起こる。

 ここで杉浦が勝負に出る。エルボー合戦の中、非情なナックル3連発でジェイクをダウンさせると、再びオリンピック予選スラムを完璧に決める。しかし、ジェイクはこれをカウント3ギリギリで跳ね返すと、杉浦のエルボー乱れ打ちも耐え抜き、スピニングバックエルボーからジャーマン、ジャイアントキリング(ニーリフト)で形勢逆転。ここからさらにジャイアントキリング3連発を叩き込み、最後は狙い澄ましたFBSで杉浦のアゴを撃ち抜き、カウント3。ジェイク・リーが30分超えの死闘を制し、GHCヘビー級王座3度目の防衛に成功した。

 試合後、マイクを握ったジェイクは、控室に去りゆく杉浦の背中に向けて「あんたみたいな人とこうしてやれて、ああ、俺は幸せもんだ。あんたと試合してると伝わってくるだよ、いろんな人の思いが、そして覚悟が。それに気づけて心底よかったよ。ありがとうございました!」と、感謝の言葉を述べた。

 そして「この名古屋の地で宣言してやるよ。N-1 VICTORY、あれをこのベルトを持ったまま全勝優勝してやるよ」と、NOAHのシングル最強決定リーグ戦完全制覇を宣言。最後は「なぜ俺がそんな大それたことを言えるのか。それは今俺が舵を取っているからだ!」と、決め台詞で締めてみせた。

 清宮海斗、中嶋勝彦、丸藤正道、杉浦貴というNOAHが誇るトップレスラーを4タテにしたジェイク・リー。このまま「N-1」優勝もはたし、NOAHを完全制圧するのか。それとも真のリーダーとなって、方舟を新たな大海原へと連れて行くのか。8月6日、横浜武道館で開幕する真夏の過酷なリーグ戦が、NOAHの今後を大きく左右する。