ウクライナの負傷兵は受け入れるが、ロシアからは受け入れない? “今後起こりうる有事”を視野に入れた最善の行動とは?
【映像】“台湾有事”まで視野に入れた最善の行動は?
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 ウクライナは、東部と南部の地域で大規模な反転攻勢を実行。6月12日には東部ドネツク州と南部ザポリージャ州で7つの集落を奪還したと発表しており、ゼレンスキー大統領も「激戦となっているが、我々は前進している。それは重要なことで、我々は予定通りの損害を敵に与えている」と戦果を強調している。

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 一方、ロシアのプーチン大統領は会見で、「敵の攻勢はどの地域でも成功していない。彼らは大きな損害を受けている」と述べた。ロシアはザポリージャ州で、ウクライナの戦闘車両を攻撃したとする映像を公開。ウクライナ側が戦車や装甲車など360両以上を失ったとしている。

 そんな中、6月8日に負傷したウクライナ兵が療養のため来日し、自衛隊中央病院が受け入れた。

 ウクライナ側の要請を受け、実現した負傷兵の受け入れは今後も継続するとしている。一方で、Twitterには戦闘に関わりすぎではないかといった不安の声も。「公費で治療するとなると加担しすぎにならない?」「もし治療した兵士が戦闘に復帰したら、ロシアへの敵対行為になる」といった声が上がっている。

ABEMA Prime』では、「日本のウクライナ支援」と「戦い終結の見通し」について、防衛研究所・防衛政策研究室長の高橋杉雄氏に聞いた。

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■日本はニュートラルではない

 負傷兵の受け入れはウクライナへの過度の加担にならないか。

 高橋氏は「日本はロシアを非難・制裁しているし、ウクライナには非殺傷性の装備を供与してお金も渡している。我々はニュートラルではない。なぜなら、ロシアが国連憲章に違反して侵略しているからだ。我々がウクライナの支援をすること、負傷兵の治療をすることに何のためらいがあろうかと思う」との考えを示した。

 なぜロシアの兵士は受け入れないのか。

「まず、端的には頼まれていない。もう一つ、やはり侵略したのはロシアだ。ロシアに対する支援になることを行うことは基本的にはありえない」

「負傷兵まで受け入れてしまうと完全に戦争の当事者ではないか」といった声もある。

「アフガニスタン紛争において、前戦で負傷した兵士をすぐにトリアージしてドイツまで送り、大きな病院で診るというネットワークをNATOが作った。それを今回、ウクライナに対して設定することは、支援のやり方として違和感はない。そして、距離は離れているが日本が医療支援をすることに全く違和感はなかった」

 イラン・イラク戦争の際は毒ガスで負傷したイラン兵2人を東京の民間病院で治療したことで、「日本が戦争に一方的に加担するという避難の懸念」「後方野戦病院の任務を果たすことにならないか」という議論が国会でなされた。今回は足を切断された兵士のため前戦復帰は考えにくく、自衛隊病院で受け入れているという違いはあるが、兵士を助けると言う意味で、“戦争に参加”することになってしまわないのか。

「日本の戦争に対する態度が変わってきたのだと思う。イラン・イラク戦争において、日本は中間的な立場だったが、湾岸戦争の後も様々な戦争があり、日本の周りでも北朝鮮・中国などに対する不安が高まっている。そんな中で、こういう問題に旗幟をはっきりさせることに対して抵抗感がなくなってきているのではないか。もちろん異論はあると思う」

 仮にロシアが負傷兵を受け入れてほしいと頼んできた場合、日本側はどうするのか。

「政治決断になるので、私の立場では答えられない。ただ、正直受け入れないと思う」

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■最短2〜3年で終結?

 ウクライナによる反転攻勢が本格化しており、ウクライナ側は集落奪還成功を発表している。どのぐらい押し返せているのか。

 高橋氏は「今は、ロシア側が待ち受けているところにウクライナが攻め込んでいる形だ。最初にロシア側の塹壕や地を攻略しないといけないが、それには時間がかかる。反転攻勢が始まって1週間ぐらいだが、陣地の一番前の部分か2本目の部分ぐらいでかなり激しい戦いが続いている状況だ」と説明した。

 同時多発的に様々な箇所で反撃を続けているが、その目的は東西の分断なのか。

「地図を見ればわかるように、ロシアはウクライナのへりの部分を三日月状に占領している。ウクライナはそれを真ん中ぐらいのところで、東部のドンバス地方と南部のクリミア半島を切り離す狙いだと思う」

 実際に反撃はうまくいっているのか。また、分断にはどれくらいの期間をかけるのか。

「おそらくウクライナのイメージとしては、夏過ぎまでに(地図の)水色になっている部分の真ん中にあるメリトポリ、あるいはマリウポリを奪回する作戦だと思う。当然ロシアは阻止しようとしてくるので、その戦い方次第で今後の展開は全然変わってくる」

 その先に、「戦いそのものの終結」は見えるのか。

「おそらく今ウクライナは12旅団、5万から6万人ぐらいで攻めている。相当激しい戦いになるので、分断が成功したとしても、そこから先に余力は残らないのではないかと考えられている。だとすると、分断したところが挟み撃ちにならないように守りを固めたうえで、2024年以降にクリミアかドンバスの弱い方を攻めて取り返し、さらに2025年に残った方を取り返す。これが一番短く終わる形だと思う」

(『ABEMA Prime』より)

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