学校を一度も欠席しなかった児童・生徒を表彰する「皆勤賞」。しかし、近年はコロナ禍や「休むことは悪」という意識の薄れなどもあり、皆勤賞を廃止する動きもある。
Twitterでは「取り柄のない、私の唯一の勲章」「頑張ったと褒められる機会が一つなくなるのがいいこととは思えない」「皆勤賞のせいで、休む人が責められる風潮がある」「体調不良でも子どもを登校させる保護者がいたので、うちの学校は廃止になった」などの声が寄せられている。
学校は「毎日しっかり通うもの」と思う人が多い一方、中には旅行を理由に学校を休む児童・生徒もいる。
「マイナビ子育て」の調査では「家族旅行のため、子どもに学校や園を休ませることについて、どう思うか?」という質問に対し、「賛成」と答えたのは75%、「反対」と答えたのは25%だった。
はたして、皆勤賞は必要なのか。ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した、ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は「目的による。学校の勉強よりも大事なことだと説明できるかどうかだ」と話す。
「遊園地に行くために学校に行かないとなると、『勉強より遊園地が大事』という価値観を親が教えてしまう。例えば『10年に1回しか起きない皆既日食を見に行く』であれば、学術的にも大事だと説明できる」
技術者・デザイナー、株式会社EXx取締役CTOのTehu氏は「僕自身、小学校6年生の時に中学受験をしたので、3学期が始まってから1カ月間、先生に『休ませてくれ』とお願いして堂々と休んだ経験がある。中学でも同級生4人で一緒に夏休みにアメリカに行って、マサチューセッツ工科大学(MIT)を見学するツアーをやった。航空券を安くするために、どうしても9月3日帰りだった。適当に『病気だ』と言って休んだら、Facebookの写真投稿から全部先生にバレて、めっちゃ怒られた」と話す。
はたして、皆勤賞は必要なのか。「子育てマイスター協会」代表理事の石川幸夫氏は「賛否で語ることはできない」とした上で「内容・質によると思う。実際に皆勤賞そのものを目指している子どももいる。子ども目線を大事にできるかどうかだ」と話す。
石井氏自身も皆勤賞をとり、励みになった経験があるという。
「皆勤賞という言葉が私は嫌いだ。皆勤の勤は『つとめる』という意味だが、どことなく戦争的なイメージを持つ。中には、クラス単位の皆勤賞もあるが、それはもう完全に同調圧力だ。どうしても価値観は変わっていくし、社会全体も変わってくる。子どもの能力は一つではない。それを大人が認めていくことが一番大事だ」
ひろゆき氏は「学業を理由にするのは間違っていると思う。学業が遅れる話にすると、クラスで一番頭のいい子は旅行に行き放題になってしまう。その上で、クラス単位の皆勤賞は『やっちゃダメだよね』と、はっきりさせたほうがいい。例えば、病弱なクラスメイトがいたら『うちのクラスはお前のせいで皆勤賞がとれなかった』『お前があっちのクラスに行けばよかった』と責められる。個人の皆勤賞は別にあってもいいと思うが、基準が不明確なまま『皆勤賞はあった方がいいよね』と議論するのは違う」と述べる。
ひろゆき氏が移住したフランスでは、2019年から3歳以上の子どもが義務教育の対象になり、16歳まで学校に通うことを求められる。
ひろゆき氏は「皆勤賞と成果は違う」として「フランスは治安が悪くて、学校に通わない学力のない子たちほど、犯罪者になりがちだ。勉強して頭がよくなるために学校に行くのではなく、通うことによって、社会経験を身につける。家や住んでいる地域とは違う社会があることをちゃんと覚えることが重要だ。いろいろな褒める要素を探した結果、その中の一個が皆勤賞だと思う」と話す。
2014年には教師が自分の子どもの入学式に出席するために、勤務先の入学式を欠席したケースがあった。
石川氏によると、こういったケースでも「保護者から苦情が来る」という。ひろゆき氏は「別に自分の子ども優先でいいと思う。例えば、子どもが10人いて、毎年休むのはどうかと思うが、せいぜい1人、2人じゃないか。それだったら休んでいいのではないか」とした上で、「先生は積極的にちょこちょこ休んだほうがいい。生徒も、代わりの先生が来た時に『また代わりの先生が来たんだ』と慣れる。代わりの先生をどうやって雇うか考えるべきだ」と述べた。(「ABEMA Prime」より)
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