![ノア、N-1に向け早くも舌戦がヒートアップ! 新日本・辻陽太が電撃視察でG1も風雲急](https://times-abema.ismcdn.jp/mwimgs/b/d/724w/img_bd0795012878de13b92a645f254cd59d152762.jpg)
「来月からメチャクチャ熱いシングルのリーグ戦があるよな。もちろんだとは思うけど、テメーたちの頭の中は“N”だよな!? テメーらの熱いリーグ戦はどのリーグ戦だ!?」。6月22日、後楽園ホールの試合終了後に拳王が問いかけると、客席から「N-1!」という声が飛び交った。
N-1とは毎年恒例のノア最強決定戦『N-1 VICTORY』のこと。今年は16選手がA、Bブロックに分かれて8月6日の横浜武道館から8月27日のカルッツ川崎でリーグ戦を行い、各ブロックの1位が9月3日のエディオンアリーナ大阪第1競技場で優勝決定戦を行う。その参加選手とブロック分けが第6試合前に発表されたのである。
AブロックはGHCヘビー級王者ジェイク・リー(初出場)、拳王(2019年優勝者)、マサ北宮、ジャック・モリス、稲村愛輝、GHCタッグ王者ティモシー・サッチャー、初来日のオーストラリア出身アダム・ブルックス(初出場)、DRAGONGATEの元オープン・ザ・ドリームゲート王者・吉岡勇紀(初出場)。
Bブロックは潮崎豪、中嶋勝彦(20&21年優勝者)GHCナショナル王者イホ・デ・ドクトル・ワグナーJr.、征矢学、稲葉大樹、GHCタッグ王者サクソン・ハックスリー(初出場)。祖父がワイルド・サモアンズのアファ・アノアイ、父がワイルド・サモアンという名門サモアン一家のランス・アノアイ(初出場)、そしてデビュー9ヵ月で三冠ヘビー級王座に挑戦した全日本プロレスのスーパールーキー、安齋勇馬(初出場)。
昨年の優勝者・清宮海斗は7月15日~8月13日に開催される新日本プロレス真夏の最強決定戦『G1クライマックス33』に専念するために出場辞退、ノアの重鎮の丸藤正道、杉浦貴(負傷欠場中)、近年の常連だった藤田和之、船木誠勝、田中将斗(プロレスリングZERO1)、望月成晃(DRAGONGATE)といったベテランも参加せず、初出場選手が4名。もっともキャリアがあるのは2004年デビューの中嶋と潮崎で、最年長は41歳の潮崎というフレッシュな陣容になった。
この発表の熱さのままに行われたのが拳王vs潮崎豪のメインイベント。両雄の戦いと言えば、思い浮かぶのは拳王が潮崎を下して優勝した17年11月19日の後楽園ホールにおける『グローバル・リーグ戦2017』(N-1の前身)優勝決定戦、潮崎がGHCヘビー級王者時代、拳王がGHCナショナル王者時代にお互いのベルトを懸けて激突して60分時間切れになった20年8月10日の横浜文化体育館の熱闘。
今回の一騎打ちは5月31日の新宿FACEでAXIZ(アクシス)の相棒・中嶋と45分フルタイムを戦った拳王に「次は俺と戦ってくれ」と潮崎が直訴して実現したもので、昨年8月17日の仙台で拳王がPFS(プロフェッショナル・フット・スタンプ)を決めて勝ったN-1公式戦以来の対決だ。
序盤戦は潮崎が拳王の蹴りを封じるべく足攻めに出れば、拳王は場外戦でダブルニードロップを投下したのを機にボディ攻めで潮崎のスタミナを奪いにかかる。10分過ぎには潮崎の逆水平チョップと拳王のミドルキックの応酬が果てしなく続き、客席から思わず拍手が起こった。
その後は潮崎が徹底かつ冷酷な足攻め。スタンディングのクロス・トーホールド、場外戦では鉄柱、フェンスへのニークラッシャー、膝裏に剛腕をぶち込むマッケンローで追い込み、20分過ぎには剛腕ラリアット、リミットブレイクで勝負に出た。
だが勝負を決めたのは、復帰わずか1カ月半の潮崎に不覚を取るわけにはいなかいという拳王の意地だ。カウンターの右ハイキックをズバリと決めると、必殺のPFSで23分11秒の戦いにピリオド、きたるべきN-1に弾みをつけた。
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試合後は拳王の独壇場。潮崎、その相棒の中嶋に「テメーら、逆のブロックだったな。必ずどっちでもいい、決勝に上がってこい!」とエールを送ると、冒頭の言葉が飛び出した。
この日はG1開幕戦の7・15札幌で清宮と対戦する新日本の辻陽太が来場。リングサイドから清宮のファイトに熱視線を送り、試合後にはリングサイドに歩み寄る場面があった。「ポッと出の小物が駆け引きするな」と不快感を露にした清宮が手で払うような仕草をみせ、花道をさっさと下がったことで何事も起こらなかったが、拳王はこの件にも触れた。
「何か、今日、変なヤツがそこに座っていたけど、ノアのリングでそんなことやられたら、腹立って仕方ないよな!」と観客に同意を求めると、さらに「もう一度、声を大きくして言うぞ。来月から始まる熱い、熱いリーグ戦はどのリーグ戦だ!?」と再度問いかけ、「俺はこの熱い、熱いリーグ戦を必ず優勝するからな! テメーら、楽しみにしといてくれ」と高らかに優勝宣言をぶち上げた。
実は「来月から始まる」は拳王の気持ちが先走っての言葉。来月から始まるのはG1で、N-1は再来月の開幕。「真夏のリーグ戦と言えばN-1だろ。暑い、暑い8月にするんだ。まだ暑くない7月にしてどうするんだ。レスラーは超人だ。この一番暑い季節で、それを乗り越えて優勝する!」とバックステージで訂正した拳王は、この夏をG1の『G』ではなくN-1の『N』にすることを改めて宣言。そこには新日本はもちろん、G1に出場する清宮との勝負もある。
文/小佐野景浩
写真/プロレスリング・ノア