今季J2で19試合に出場し4得点を記録しているFC町田ゼルビアの平河悠は、チームメイトの藤尾翔太とともにU-22日本代表に選出された。自身初の世代別代表選出だったが、「自分の特徴は出せた」と語るなど一定の感触は得たようだ。
「代表どころかヨーロッパでも活躍できる」スピードとパワー
今、チームで最も勢いのあるドリブラーと言っても過言ではない平河について、パスの供給源でもある荒木駿太、プライベートでも仲良しの下田北斗、開幕から両サイドでコンビを組むエリキの3選手がその凄さについて語った。
荒木が平河のプレーの印象を「スピードとパワー(が凄い)。なかなかボールも奪えないですし、ちょっと剝がされたらついて行くことも難しい。練習中からパワーとスピードは凄いなと感じています」と語れば、下田も「前への推進力はチームの武器になっていると思う」とコメント。
彼らの印象通り、代表招集前の17節時点のJ2でのスタッツを見ると、平河はドリブル成功数(100回)とドリブル成功率(62%)の両方でトップ5入りを果たした唯一の選手だった。
そして、今回の取材で最も平河を称賛するコメントを残したのが、近い距離でプレーすることが多いブラジル人FWエリキだ。U-22日本代表FWを「日本代表どころか、ヨーロッパでも活躍できるかもしれない」と太鼓判を押している。
28歳のブラジル人FWは「スピードが素晴らしい。それでいて上下動ができる体力も兼ね備えている。毎日の練習を見ていても日々の成長を感じるし、いつか偉大な選手になるんじゃないかな。そしてポジショニングもイイね。自分もアシストをしやすい」と、平河の成長とピッチでの連係に満足気な様子だった。
相手を「腹で見る」守備
平河の武器は攻撃面だけではない。
下田は「プレスバックしてくれるし、守備でも特長を出せる」とコメント。荒木も「あれだけ攻撃で走って最後までディフェンスラインまで戻ってスライディングして守備をする。チームとしても助かっている」と証言するなど、2人揃って「守備の凄さ」を明かしてくれた。
平河の守備の凄さはデータにも表れており、代表招集前の17節終了時点で、地上戦守備デュエル勝利数(59回)とタックル数(55回)はともにJ2でトップだった。
この守備について、平河本人も「昨年、ポポヴィッチ前監督にかなり言われた。今年はより守備への意識付けをしている」と明かしており、高い意識で守備に臨んでいるようだ。黒田剛監督には、「相手を腹で見る」ということを教え込まれた。相手を体の前で捉えそのスピードとフィジカルでサボらず向き合った結果が今の数字につながっている。
平河のようなワイドの選手が攻撃時に高い頻度、かつ高確率でボールを運ぶことができれば、カウンターの局面での脅威はもちろん、相手陣内に押し込んだ際にも相手の最終ラインを押し下げることができるので、ピッチに立つことで影響力を与えることができると言える。
そして被ボール保持時もサボらず、中盤や最終ラインの選手を助ける守備もできるのも大きな魅力と言えるだろう。攻守に渡ってチームを牽引する、若きドリブラーの活躍から目が離せない。
(ABEMA/ゼルつく)