「会いに行けるアイドル」は本当に必要? メンタル面のマネジメント不要、不祥事を起こす心配もない… AIタレント事務所が誕生
【映像】黒上ロング、素朴な地方女子…(AIタレント複数カット)
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 AIアイドル、AIグラビアなどに注目が集まる中、今年4月にA Iタレント事務所が誕生した。「理想の容姿・声であなたの名前を呼ぶ、あなただけのタレント」の最前線を追う。

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「主な活動は、AIタレントだけが所属するプロダクションとなっている。ゆくゆくは広告塔・PR案件など、既存のインフルエンサーのように商品紹介をさせたい。内々ではYouTuberとのコラボも進んでいる」

 そう話すのは、AIタレント事務所「ER`A`ROR-project」を運営するTerraConnentの本石啓介代表。AIタレントは、ネット上でのタレント活動と親和性が高いとして、その強みについて次のように説明する。

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「例えば、インフルエンサーがYoutubeなどで“1対1万の配信”は可能だが、1対1で相手の名前を呼んだり、その人の性格や思考などに合わせた受け答えをすることは難しい。対して、AIタレントであれば、1万人のフォロワー1人1人と同時にトークライブすることも、中国語・英語・など様々な言語にも対応可能だ」

 みんなのアイドルではなく“自分だけのアイドル”に。運営側としても、メンタル面のマネジメントが不要で、不祥事を起こす心配もないといったメリットがあるという。本石代表はAIタレントがどのようにコミュニケーションを取るのかという仕組みについても解説する。

「プロジェクト一番初めのタレントとして発信した子が『新シエラ』。若干20歳という設定をもとに、ChatGPTなどで“ペルソナ”を作っている。作った設定をもとに想定した(答えを)返していくコミュニケーションを取るという流れになっている」

 新シエラが行ったYouTubeライブ配信では、視聴者のコメントに対して自動で返答。しかし、視聴者に対するコメントには機械っぽさがあり、発展途上であることを否めない配信だった。それでも、本石代表は「解消されるのは時間の問題だ」と語る。

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「音声データと画像・動画はまだ連動できていない。例えば、アンチコメントがきた際には悲しい顔をしたり、嬉しいコメントがきたら笑顔になるなど、“感情表現”が1つの目標だ。加速度的に技術が進歩していくので、浮かんだアイデアに技術が必ず追い付いてくれる。追い付くというのも年単位ではなく、1カ月単位でという時代だと思うので、やりたいことを頭に浮かべてそれができるような技術を集めていけばいい」

 AIによって作られた姿しかもたないAIタレント。実在しないことに物足りなさを感じてしまうなどの懸念はないのだろうか。

「そもそもアイドルやタレント、インフルエンサーに『本当に会いたいのか?』という疑問がある。ファンは会うことを求めているというより、その人の思いや言葉、生活の様子をキャッチしたいのではないか。ある意味“本当の偶像”としてファンを認知しているか、より身近な存在でいてくれるか、などといった点こそが求められているのではないか。AIタレントではそういった承認欲求も解決できる」

 とはいえ、先日大手出版社のAIグラビア写真集が発売中止となるなど、AIと著作権の問題は複雑かつ、切り離せない。

ABEMAヒルズ』に出演した生成AIを使った著作権に詳しい出井甫弁護士は「ビジネスで生成AIを利用できる線引き」について、現在の法律の解釈を述べる。

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「著作権が発生する著作物とは、法律上で『思想または感情の創作的な表現』と定義されている。法律は、人に対するルールなので、ここに人の思いや感情があることが前提になっていると思われる。そうすると、自動的にAIが生成したものには、思想または感情はないだろうということで『著作権は発生しない』と考えられている。ただ、AIを道具として使った場合には、著作権が発生する可能性もある。

 例えば画像生成AIだと、テキストが長い文章になっていたり、独自の工夫があると認められた場合。ほかには生成される画像のキーワードを何度も修正して、トライアンドエラーを繰り返している場合などは、人の思想または感情が反映されていると考えることもできる。個人的には下地をAIで生成して、そのあとは人間が加工することで、人間の著作物としてビジネスをしていくのが安全かつ無難だと思っている」

(『ABEMAヒルズ』より)

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