“ヤジ排除訴訟”にひろゆき氏「どんなことを言ってもいいと確定した」表現の自由はどこまで?
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 2019年、安倍晋三総理(当時)の街頭演説中にヤジを飛ばし、北海道警の警察官に違法排除されたとして、男女2人が道に計660万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が22日、札幌高裁で行われた。

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 当時、男性は「安倍やめろ!帰れ!」と、女性は「増税反対!」と叫び、これを受け、警察官が2人を離れた場所に移動させた。

 しかし、男女2人はこの対応について北海道を相手取り、「表現の自由を侵害された」などとして、合わせて660万円の損害倍書を求めた。去年3月に行われた、一審の札幌地裁では原告の主張を認め、北海道に対し、2人合わせて88万円の損害賠償を命じた。

 不服とした北海道が控訴して行われた22日の二審判決では、女性への一審判決は支持した一方、男性に対しては、他の聴衆と揉めていたことなどから、要人警護の観点もあり「排除は妥当」として一審判決の一部を取り消し、請求を棄却した。

 表現の自由か、それとも要人警護か。ニュース番組「ABEMA Prime」では専門家とともに考えた。

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 表現の自由や基本的人権について研究している、専修大学法学部教授・内藤光博氏は「率直に申すと、今回の高裁の判決は、表現の自由の視点から見ると非常に問題がある」と話す。

「第一審の判決と比べて、憲法上の表現の自由、表現活動に対する認識が非常に後退したのではないか。判決は文章なので、事実認定において具体的な内容が分からない。判決は男性と女性の違いではなく、両者の対応によるものだと思う。男性は手をあげたり、小突いた人がいたりなど、行動がともなってしまった。女性は比較的ヤジに留まった。これが裁判所の判断の違いにつながっていると思う」

 判決文では「本人が暴行を受ける危険や安倍元総理に危害を加える恐れがある」として、男性を排除したのは妥当としている。内藤氏は「警察官職務執行法4条に避難等の措置という内容がある。危害を加えられる可能性がある場合、危害を加えられる人を避難させたり、引き止めたりすることができる。また、何らかの生命・身体・財産の損害を生ずるような場合には、5条で本人の行為を制止することができる」と述べる。

 ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は「ニュースの説明を聞いた限り、ヤジはどこまででも自由でやってくれという話だと思う」とコメント。

「トラブルが起きそうだから男性の判決は変わった。でも、男性が排除された理由はヤジではない。行動をともなったという部分で、警察官の行為自体が違法か合法か分かれた。『ヤジは全部自由。どんなことも言っていい』と高裁で確定したと思っている。ヤジ自体が争点にすらなっていない」

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 その上で、ひろゆき氏は「ヤジを言った男性を小突いた人がいた。腕を使って誰かを叩くという行為なのに、その人は無罪になっている。こっちの方がまずいのではないか。『ヤジを飛ばしたりマイノリティが意見を言ったら叩けばいい』となってしまう。警察は捕まえるべき相手を間違えている」と指摘する。

 これに対し、内藤氏は「守られるべきはヤジを飛ばしている人の表現の自由だ。その意味では小突いた側を警察官は制して、ヤジを飛ばしている表現活動者を守る方向で警職法を理解すべきだ僕は考えている」と述べた。

 自民党副幹事長の小林史明衆議院議員は「2017年の選挙の時に、私にも『森友・加計問題はどうなったんだ』というヤジがあった。当時はその場で私が街頭で説明した。もし反対派でヤジを言う人が100人でやってきた場合、我々はどう対応したらいいのか。表現の自由にも配慮しないといけない」と問題提起。

 反対派が多数押し寄せた場合、要人警護の観点から街頭演説が成立しない事態も起こり得る。ひろゆき氏は「反対派が多くて、賛成派だけを集めて主張したいのであれば、アメリカの大統領選のように支持者をホールに集める形式でやればいい」と話す。

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▲専修大学法学部教授・内藤光博氏(左)、佐々木俊尚氏(右)

 作家・ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「ヤジそのものが表現の自由に当たるかどうかの話と、この行動自体が適法だったかどうか、排除が適法だったかどうかは別の次元の話だ」と指摘する。

「問題がごちゃまぜになって『ヤジ排除訴訟』と言われてしまっている。実際、ヤジの前後に男性がどういう行動をしたのかは分からない。警察官も職務として適切な執行だったのかどうか、判断しにくい。これは4年前の事件だ。その後に安倍元総理の銃撃事件や、岸田総理の爆発物襲撃事件が起きた。それを踏まえた上で、政治家が街頭演説する場合に聴衆との間にどのように距離をおくべきなのか。警察がどこまで踏み込むのか、もう一回議論しないといけない局面にきている」

(「ABEMA Prime」より)

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