6月23日、マダニに噛まれた茨城県の70代女性が死亡した。死因はマダニが持つ「オズウイルス」による心筋炎。オズウイルスによる死亡例は世界初だ。
マダニが媒介するのはオズウイルスだけではない。流行の最盛期を迎えているという「SFTS」の致死率は最大30%で、なおかつ噛まれても気づきにくいという。マダニの恐ろしさと対策についてテレビ朝日社会部 厚生労働省担当の栗原伸洋記者に聞いた。
――SFTSを初めて耳にした方も多いと思うが、どういった感染症で、年間の感染者数は何人くらいいるのか?
正式名称は「重症熱性血小板減少症候群」。主に、ウイルスを保有しているフタトゲチマダニなどのマダニに咬まれることにより感染するダニ媒介感染症。去年1年間の感染報告は116人、うち死亡は12人。2013年から今年1月時点で、感染が報告された人の平均年齢は75歳、死亡例の平均は81歳。若い世代も感染するが、これまでに40代以下の死亡例は確認されていない。毎年春から秋にかけて感染者の報告が増えていおり、5月から今の時期が流行の最盛期だ。
――感染するとどのような症状が出るのか?
感染者が出た場合、届け出が義務付けられている4類感染症に位置付けられており、症状は発熱、消化器症状(吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、下血)が主で、筋肉痛や神経症状、出血症状なども。血小板・白血球の減少も生じ、亡くなった事例の9割以上で確認されている。致死率はなんと、最大30%にのぼる。
――対策は?
「一般的なマダニ対策をとることが大事」と厚労省もウイルス感染症に詳しい宮崎大学の岡林教授も呼びかけている。草むらや藪など、マダニが多く生息する場所に入る場合には、長袖・長ズボン、足を完全に覆う靴、帽子、手袋を着用し、首にタオルを巻く。さらに、シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れる、または登山用スパッツを着用するなどして、肌の露出を少なくする。
さらに岡林教授はペットに関しては、犬や猫となめ合うといった濃厚接触にも警鐘を鳴らす。屋外で弱った猫を見たときも助けたくなる気持ちはわかるが、「体液からウイルスが出るかも」という意識が必要だという。
――ペットを飼っている人はどのような対処が可能か?
ダニからの感染を防ぐためには外に出さないのが一番いい。それが難しいようであれば、散歩後にブラッシングする、マダニ忌避剤・駆除剤をつけるというマダニ対策が非常に大事だ。
――もし、マダニに噛まれたらどうすればいいのか?
無理に取らずに、そのまま医療機関へ。自分で除去しようとすると、虫体の一部が残ってしまう場合があり、あとから炎症や病気を発症する原因になることも。