勉強は1日16~20時間、書店員がやたらと親切な“闇学習塾”も出現 「一発で人生を変えられる唯一のチャンス」中国の大学受験戦争
【映像】ほぼ全員が机に突っ伏す異様な光景…
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 中国人からするとありえない組み合わせだという「餃子定食」。中国で主流の水餃子はそれ自体が主食で、炭水化物で炭水化物を食べることに疑問を持つそうだ。一方で、中国では当たり前でも、日本人からすると信じられない光景がある。そのひとつが「大学受験」。

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 中国の受験名物である、「赤いチャイナドレス」。漢字で書くと「旗袍(チーパオ:旗を掲げて勝利する)」を意味し、おめでたい色である赤のドレスを身にまとって、げんを担ぐ。最近では、教師や父親もチャイナドレスを着るという。「旗開得勝(勝って旗を掲げる)」を意味する中国語のTシャツも人気だ。

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 また警察は、受験票を忘れたり、遅刻しそうだったりする生徒を、パトカーや白バイで送り届けることも。また入試が近づくと、カラオケ店や飲食店が大きな音を出さないよう、取り締まりも行われる。受験生はこの時期、1日16時間から20時間勉強するため、集中できるようにするための施策だ。受験科目は国文や数学、英語など4科目あるが、中でも大変なのが5000年にわたる「歴史」だという。

 中国に詳しいジャーナリストの高口康太氏は、大学受験が「一発で人生を変えられる唯一のチャンス」だと指摘する。かつて中国には、世界最古の官僚試験「科挙」があった。科挙に合格すると「一族を三世代にわたって食わせられるような権力」を得られた時代からの伝統が、受験戦争の背景にあるという。また、激しい経済成長のなか、貧しい人でも「自分はともかく、子どもたちは出世できるのではないか」との見込みもあると、指摘する。

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 試験結果によって、「一本大学」「二本大学」「三本大学(短大・専門学校)」のレベルに分けられ、公務員や有名企業といった就職の道筋も定められる。こうした学歴システムは、格差のない共産主義と矛盾しているようにも思える。事実、過熱する受験戦争の抑制と、受験勉強の格差を是正するため、学習塾などが禁止されたものの——。

「たとえば、学校の参考書を売っている『書店』の名目だが、店員がやたらと親切で、買いに来た学生が質問すると、なんでも教えてくれる。超高学歴で英語も数学も教えてくれるメイドさんもいる」(高口氏)

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 では、そのような教育システムに弊害はないのか。高口氏は、「良い成績をとって良い大学を出なくても、いろいろな仕事はできる。今の中国の価値観だと軸が1つしかなく、そこから落ちこぼれた時にリカバリーの手段が少ない。エリートを輩出する仕組みとしては優れているが、想像力を発揮して、今までにないイノベーション、ビジネスを起こすのは、必ずしも『詰め込み教育』による高学歴人材とは限らない。社会の多様性がなくなってしまう」と指摘した。(『ABEMA的ニュースショー』より)

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