6日、新しいSNS「Threads」がFacebookやInstagramを運営するMeta社の提供で立ち上がった。当初、同日の23時だった予定を早めて朝8時からサービスを開始。1日でユーザー数は1000万人を超え、早くも注目を集めている。
【映像】一斉にリプライが集まったThreadの投稿 ※提供:三上洋氏(画像あり)
ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した、ITジャーナリストの三上洋氏は「始まったばかりなので、とても優しいSNSになっている」と話す。
「今のThreadにはSNSの問題点を分かっている経験者しかいないから、荒れていない。『番組で紹介していい人だけリプライをください』と呼びかけたら、一斉に集まった。公開の時期が早まったのは、確実にTwitterを意識していると思う。現状のFacebookやInstagramは、実は“閉じたSNS”だ。自社サービスの中で囲い込んで、ユーザーのデータをいっぱい取って、広告で儲ける。一方でThreadは、みんなで広げていく親しみやすさ、コミュニケーションを大事にすると言っている」
6日、Meta社のCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏はThreadsで「時間はかかるが、10億人以上が参加する公開会話アプリがあってもいい」と投稿。「目標は、拡大しながらも親しみやすさを保つこと」だといい、「Threadsをフレンドリーな場所にすることに注力する」としている。
今後Threadsは、どのくらい成長するのか。三上氏は「Twitterと何も変わらないと思う」とした上で「アクティビティパブ」の仕組みに言及。
「アクティビティパブは他のSNSともつながれる機能だ。何が面白いかというと、短文投稿SNSのライバルにMastodonやMisskeyがある。Threadsは、そういった別のSNSでつながった人たちともやり取りできる機能を標準搭載した。全部Metaだけで囲い込もうとしていない」
NPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星氏は「きょうMetaの公共政策担当者と話す機会があった」と明かす。
「アクティビティパブが使えるなら、Threadsのアカウントを持っていなくても利用できるから、開けたサービスになると思う。一方で、今アメリカでは、Instagramが10代の女の子に自殺を喚起させたのではないかという裁判が起こって、大きな問題になっている。Metaはそれをかなり気にしている。現状、Threadsでいわゆる有害ワードを打っても、相談窓口の表示はない。Metaとして、これは早急に対応しないといけない感覚を持っている」
大空氏によると、スタートアップで若年層の女性をターゲットにするのは常識だという。
「まずはそこをターゲットにしてトレンドを作っていく。Clubhouseが一気に広まって、一気に調子を悪くしたのは、いわゆるSNSを使い慣れた“おじさん・おばさん”が入ってきたからだと思う。10代からしたら僕も“おじさん”だ。そういう人たちが入ってきた中で、トレンドに敏感な10代の子たちが『私たちも自由に使おう』となるかというと、ちょっと難しい。息の長いサービスにしたいと思って、優しいSNSにしたいなら、おじさん・おばさんは半年くらい使うのをやめた方がいいかもしれない」
Metaが出したプレスリリースを読んだという大空氏。「“繕っている自分”を増やすツールができただけではないか」と懸念を示す。
「Metaは『ポジティブで生産性のある会話をより可能にするツールとしてThreadsが開発された』と言ってた。ポジティブは分かるが、生産性に少し“うん?”と思った。確かにTwitterの罵詈雑言は生産性がない。だが、人間のコミュニケーションには“余白”みたいなところがある。極めて非生産的な会話の中にも何かしらの趣があり、生産性がある会話だけが広がるツールを目指しているのであれば『Instagramは偽りの人生、Twitterが本性』と言われる現状とあまり変わらない気がする」
その上で、大空氏は4日に総務省が発表した2023年版「情報通信白書」に言及。「SNSは自分に近い情報が流れている。しかし、この事実を知っている割合は、日本で38.1%だ。中国など他の国は7割を超えている。日本だけかなり低かった。これはThreadsでも一緒で、基本的にSNSは自分に近い偏った情報が流れている前提で使うべきだ。最低限のリテラシーは持っていたほうがいい」と述べた。(「ABEMA Prime」より)
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