5月以降、沖縄では新型コロナの感染再拡大と医療機関のひっ迫が伝えられている。政府分科会の会長を務めた尾身茂氏は「第9波に入っている」と見解を示し、また日本医師会も「第9波と判断することが妥当だ」と表明。一方で、後藤茂之経済再生担当大臣は「第9波の認識はない」と述べている。
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食い違う認識の中、感染の実態はどのようになっているのか。ニュース番組「ABEMA Prime」では、医師と共に議論を行った。
医師の竹内翔祐氏(たけ内科総院長)は、「クラスター感染は間違いなく起きている」と指摘する。
「沖縄は医療崩壊気味だ。大きい病院から『急ぎではない手術はできない』という文書も出ている。おそらく沖縄で感染が爆発しているのは、暑くて換気をしないからだ」
どのような条件でクラスター感染が発生しやすいのか。
「今まで言っていた濃厚接触は“15分以上の会話”だ。結局は、ご飯・飲み・仕事だ。夏は沖縄から上がってきて、冬は北海道から下がってくる。これまで夏・冬に必ず感染の波が来ている。どちらも気温が極端になった時に感染者数が増えて、東京に来る。東京も暑くなったので、感染の波が来るかもしれない」
たけ内科では、検査数や感染者情報について、ホームページで公開している。
「第9波はこれまでと明らかに違う。第8波までは、火がついたら止められなかった。緩やかに上がり続けているのは初めてだ。5月から増え始めて、今週に至るまで減らなかった」
また、陽性者の症状の重さについて、竹内氏は「間違いなく軽い」と話す。
「ワクチンのおかげなのか、変異したからなのか、証明は難しいが、どちらもあり得ると思う。ワクチンも効いているし、弱毒化しているのも間違いない」
新型コロナをめぐっては5月の5類移行から、感染者などの数字が発表されなくなった。竹内氏は「全数報告を復活させるべき」と話す。
「まず、全数報告は2つある。元々あったのはHER-SYSというシステムだ。陽性者がどこの生まれの何歳で、どのような症状があるか全部報告するものだった。これは本当に寝られないぐらい大変だった。今回はそこまではしなくていいと思う。その後、5類に行くまでの間に重症者だけこれをやって、あとは陽性が何人なのかだけ報告する“緩い期間”があった。これはあまり手間ではないからやっていいと思う。次の新型コロナもいずれ来る。その時“過去の経験”が武器になる。毎日診療が終わった後に打つ数字がなくなっているのは『楽だな』と思うが、なぜこの武器を手放したのか、僕はよく分からない」
その上で、竹内氏は天気予報のように「コロナ予報」をメディアが報じるべきだとコメント。
「例えば『東京で1万人感染』と聞くと『そろそろ自分の身の回りに来るかも?』という感覚があった。明日やらなくてもいい用事をなくすなど、天気予報のように『コロナ予報』をやればいい。もとになるデータが取れるのだから、取ったほうがいい。花粉情報、紫外線情報、コロナ情報といった形で出したほうがいい。データは宝だと思う」
メディアの力だけで予報はできない。竹内氏は「一応、定点観測の数字は出ている。それをもとに『今上り調子だ』『下り調子だ』くらいは、メディアが言及したほうがいい。同じ5類でも梅毒は全数把握でやっている。システムとしてあるはずだ」と話す。
また、竹内氏は「予約なしでPCR検査を受けられる医療機関を増やすべき」と提言。
「これはみんながやらないから僕がやるという話だ。感染症の基本だが、検査のハードルを下げるのは非常に大事だ。HIVでも匿名で検査が受けられる。感染拡大をふせぐために、少しでも心理的ハードルを下げる必要がある。予約なしでいつでもやっている医療機関が増えると、うまく感染症と付き合っていける世の中になる」
(「ABEMA Prime」より)
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