松井稼頭央監督のもと、「走ることが原点であり、そこからすべてを変えていく。」という想いをこめて、『走魂』をチームスローガンに掲げた埼玉西武ライオンズ。
【映像】一塁まで「3秒間」 “球界屈指の韋駄天”高松が爆速すぎる
7月22日終了時点でチーム盗塁数は53で楽天に次ぐリーグ2位、両リーグを通じても同じく2位と、一見そのスローガン通りの野球ができているように見受けられるが、その一方でチーム成績は84試合で36勝47敗1分の5位と、厳しい戦いを強いられている。ここまでの戦い方を見ていると、“チーム盗塁数が多い一方で、「走る野球」が機能していない”のではないか?という疑問が出てしまう。
現在、チーム内の盗塁数でトップなのは俊足・外崎修汰の18。次いで鈴木将平の8、若林楽人の4と続くが、こうした「足」でも魅せる選手のうち、得点に絡んでいる選手がどのくらいいるのか?という点で見ると、チームトップの得点は盗塁数でもトップの外崎修汰の40。次いで盗塁0のマキノンの30、盗塁1の中村剛也の21、鈴木将平の17。つまり、外崎だけが群を抜いて「走る野球」を実践する形で、得点にも絡んでおり、鈴木将平もその後を追う格好となっている。見ようによっては、「足で得点に絡む選手」が、西武には不足しているとも言えるだろう。
能力的な意味で「走れる選手」自体がいないか?といえばそうではない。たとえば2度の盗塁王に輝き、通算200盗塁以上をマークしている金子侑司などは、近年、盗塁数を減らしているとはいえ、本来であれば、「走れる選手」だ。それだけに、今季も序盤は重要な場面でも代走に起用される場面がたびたび見受けられたが、西武ファンの多くが知るように、その期待に必ずしも応え切れていない。まさに“足のベテラン”『走魂』野球の手本として、今後、さらなる奮起を期待したいところだ。
7月21日放送のABEMA『バズ!パ・リーグ』でも紹介されたように、こうした状況の中で西武は、7月18日付で、中日・松渡と川越誠司のトレードを発表。前出・金子に代わる代走のスペシャリストとして、松に白羽の矢を立てることとなったが、そんな高松は、移籍後早々に行われたイースタンの北海道日本ハムファイターズ戦に出場し、移籍後初盗塁と初安打をマーク。1軍の公式戦ではないものの、50メートル5秒8、一塁到達は最速3秒53の足に加え、今後の“大化け”を感じさせる柔らかいバッティングを披露することとなった。“ここ一番”という場面での代走のスペシャリストとしての成功を期待される高松だが、良い意味でその期待を裏切り、『走魂』野球の代名詞的な存在として、レギュラーに定着するような活躍を見せることを、期待したいところだ。