「興味があれば未経験OK」「まずは話が聞きたい方も!」。こんなキャッチフレーズで呼びかけるのは、アルバイト募集ではなく、日本維新の会による国会議員候補者の募集案内だ。維新は、会社説明会さながらに、政治家への転職を誘うオンライン説明会を積極的に行っている。
【映像】「怖くてTVで映せない」維新・馬場代表による政党相関図
「今まででは考えられないぐらい、履歴書が来ている。野党第一党である立憲民主党さんの数を超えていく。130名近いところまでは、8月中にはおそらく決めにかかれる」(日本維新の会・藤田文武幹事長)
日本維新の会は、橋下徹大阪府知事(当時)と、自民党を離党した大阪府議・市議によって2010年に結成された地域政党「大阪維新の会」が母体となっている。二重行政を解消する「大阪都構想」の実現が最大の目的だった。
2022年の参院選で改選議席を倍増させ、比例代表では立憲民主党を上回った。そして2023年4月の統一地方選では、首長と議員が470人から774人に急増。奈良県では、元朝日新聞の維新候補・山下真氏が、自民推薦・立憲支持の候補や、現職を大差で破り、大阪以外で初めての維新系知事となった。
これまで公明党が強かった大阪で、維新は21の首長を送り出している。その原動力になっているのは「身を切る改革」だ。議員定数や議員報酬を削減し、大阪では高等教育までの無償化を実現しつつある。
「(維新議員の)歳費報酬の中から毎月2割、ボーナスは3割、預けさせていただいているお金の中から、和歌山県・埼玉県・茨城県取手市と、災害被害にあったところに対しての寄付を行った」(藤田幹事長)
そんな維新が、次に目指すのが「一強独裁状態」の打破だ。
「与党になった方は、ぬるま湯につかっている。もっと悪いのは、野党第一党の席におさまって、ぬるま湯につかって、気持ちがいいなと思っている野党第一党。日本の政治を駄目にしている」(日本維新の会・馬場伸幸代表)
馬場代表は「安直に連立を組むということを求めていくのでは無しに」と、立憲民主党との選挙協力を拒否し、単独政権へ向けて、すでに次期衆院選に向けて106人の立候補予定者を発表。8月までに150人を目指している。
馬場代表を長年取材する、朝日新聞の今野忍記者が、人物像を語る。
「馬場さんは高卒で、大学入試は12学部も落ちて、予備校にも落ちた人。ファミレスの厨房から、議員秘書、市議、国会議員、党代表となった、たたき上げの政治家で、ならず者集団の維新を束ねてきた。『創立者の松井(一郎)さんが信長なら、オレは秀吉』と、本気で天下取りを考えている」(今野記者)
他党との関係について、今野記者が馬場代表に聞き取り、相関図としてまとめた。各党への評価は——。
馬場代表は「自民党は横綱、維新の会は十両」と相撲でたとえて、「まともに行ったら全然勝てない」と分析。同じく保守をベースにしているが、自民党は現状を維持していく保守、維新は改革していく保守という点で方向性が違うという。
公明党とは、悲願である大阪都構想実現のために、過去4回の衆議院選挙で選挙区のすみ分けを行ってきた。しかし、都構想が凍結している現状では「公明党さんに何かお願いすることはない」うえに、目標である野党第一党を達成するためには「1議席でも無駄にできない」ことから、公明党現職がいる関西の6小選挙区についても、維新候補を擁立し公明党とも戦うことにしたと説明。
共産党については「日本からなくなったら良い政党」「おっしゃっていることが、この世の中ではあり得ない」と語る。
「世の中にあり得ない空想の世界を作って、『こんなになったら良いな』というのを真剣に真面目に考えている。わかりやすいのは例えば地方議員であれば『こんな道路作ったらだめでしょ!』『税金の無駄遣いだ。もっと福祉に回せ』と言うが、道路ができて、開通式典があれば、いの一番に出る」(馬場代表)
国民民主党の政策とは「非常に似通っている」が、国民民主党には連合(労働組合)が付いているのに対して、維新には特定の組織や企業の支援を受けていない。維新は連合とも意見交換を行っているが、「解雇時に金銭解決ができるようにするかどうか」という点で連合と姿勢が異なる。維新は「労働力を流動化させるために、できるだけ早く、企業側にも負担のない形で解雇できるルールを作った方が良いのではと言っている」と語る。
なお今野記者によると、連合の中でも地方公務員と民間の組合があり、地方公務員の組合は立憲民主党、民間企業の組合は国民民主党に近く、維新は民間企業の組合と親和性が高いという。
そして立憲民主党は——。「格下の敵」「叩きつぶして消滅させる」。国会では与党と野党第一党が話し合い、委員会の運営など基本的なルールを決めていく。しかし馬場代表が指摘するのは、立憲は「ただ目立てばいい」。委員会の強行採決も「やらせ」で、前もって通告しているという。
「体を張った闘う野党を主張しているが、国民からすると『どうでもいい』。自民党が出してくる政策や法律、予算をちょっとでも良くしていく。中身を良くして、できるだけ国民の負担がない形でやる。これを突き上げていくのが、本当の『闘う野党』だ」(馬場代表)
立憲の泉健太代表については、「周りを取り巻く『昔の名前で出ています』みたいな人達が、好きなように泉さんをコントロールしている」と語る。一方、千原ジュニアから立憲の野田佳彦元総理についてどう思うか問われると「野田さんは非常に人格者で、安倍晋三元総理への国会での追悼演説に感動して、すぐメールを送ったところ、後日「馬場さんから最初にメールが来ました」と話していたと振り返る。
演説原稿を書いている最中にも、一緒に食事をしたという。「やたらお酒を召し上がる。『原稿書く時は、お酒飲んでいる方が調子いい。きょうは思いっきり飲んで、帰って書く』」と、当時のエピソードを語った。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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