18日、政界からの離脱を表明した佐藤ゆかり氏。いわゆる小泉チルドレンとして政界入りし、これまで総務副大臣や環境副大臣などを歴任。安倍政権時代は憲法審査会の委員を務め、自衛隊明記など改憲に向けた議論を進め、政治家としてのキャリアは約20年。選択的夫婦別姓に反対するなど、保守政治家として存在感を示してきたが、一体何があったのか。
「政治家がポピュリズムの配下に陥って、言論の自由を失っている現状だ。政治家に十分な言論の自由は今ない」
発端は前回2021年の衆議院選挙だ。自民党は大阪の小選挙区で日本維新の会に全敗。佐藤氏も議席を失った。これを受け、自民党本部は次の選挙に備え大阪支部の刷新と、支部長の公募を決めたのだ。
ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した佐藤氏は、引退の理由について「内から変えることはなかなか難しい。政治の世界の束縛から、ある意味リリースされて、民間の立場ではっきり物を言っていきたい」と話す。
ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は「政治家に言論の自由がないのではなく、個人の話だ。主語を大きくしすぎている」と指摘。「自分の実力がなくて、大阪の人が票を入れなかったから、落ちたわけではないか。政治家としての資格がないので、自民党の中身について何を言っても空論だと思う」と述べた。
これに対し、佐藤氏は「票を取るために自民党を変えていかなくてはいけない。実力を上げていく必要がある」とした上で「大阪府民のみなさんは風に流されやすい」とコメント。
「大阪は歴代の大阪府知事にタレントが出てきたりと、政治の風貌が違う。あくまで国の与党は自民党と公明党だから、野党だといろいろな政策が通じないことがある。だから、大阪だけ取り残される。私たちは一人ひとり政治家として、努力研鑽を重ねて、発言をして、有権者に認められる議員になっていかなくてはいけない」
また、佐藤氏は日本維新の会の政策的な問題について「都構想で言えば、時代に逆行する愚策としか言いようがない」と指摘。
「大阪府と大阪市を一緒にすることは地方分権化の時代において、まったくの愚策だ。政令指定都市として権限がある大阪市を、きちんと維持をして、東京に並ぶ経済発展の場所にしないといけない。大阪市をなくして都にするのではなく、権限と予算を使って、きちんと発信をしていくべき。もとを正せば、大阪維新の会という地域政党が『大阪都構想』と言い始めた。2回住民投票をやって、僅差で反対の方が上回り、廃案に追い込まれた。反対している方々は、危うさと問題点を理解している。賛成している方々は、私たちが聞いた中では少なくとも、中身が良いのではなくて『維新が言っているならいい』とふわふわとした議論を言う人が多かった。もっと大阪府民の方々、我々がきちんと政策を考えていかないと、大阪だけが国から切り離されていく」
ギャルタレントのあおちゃんぺは「大阪の人が流されやすいという特徴が分かっているのに、なぜ選挙に勝てなかったのか」と疑問。「私の中で選挙は嘘の言い合いで、有権者をどれだけ魅了して、票を投じてもらうかだと思う。多くの人の心を掴んだのが維新だったのではないか」と指摘する。
これに佐藤氏は「選挙が祭りごとで、お互いに思いもしていないようなことを言い合って、よく見せ合っていると思われていることに、政治の衰えと劣化を感じるし、とても残念だと思う」と回答。
「一つの原因は小選挙区制度になったことだ。360度全員が自分の有権者であるという意識が高まって、言いたいことも言えず、本音も言えない。みんなの顔色を伺って、聞こえがいい、心地のいい演説をする。そうすると、受かりやすい。私ははっきり物を言うほうなので、逆に反発をもらうこともある」
引退後は、メディアやSNSも含めて「言いたいことを伝えていく」という佐藤氏。政治家は引退するが、政界引退ではないということか。
「私は自民党員であり続ける。政局は別として、政権担当能力や政策立案能力、実務能力になると、やはり自民党を超える政党はないと思う。これは、民主党政権で露呈した通りだ。私もかつて政界に入る前、民間時代は経産省の審議会でも委員を経験した。関西学院大学でもフェローをさせていただいて、授業も持っている。公の場で民間の立場から、意見を発信していきたい」
(「ABEMA Prime」より)
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