各チームともおよそ100試合を消化した段階で、MLBア・リーグの本塁打数ランキングで、2位に8本差をつけ、もはや独走ともいえる状況となっているロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平。
【映像】大谷翔平、本塁打を放ちバットをぶん投げる瞬間
先頃、カナダのスポーツ専門局『The Sports Network』の『StatsCentre』は、100試合紹介時点での大谷の本塁打のペースが、ア・リーグの打者の中で歴代5位タイ、1位のレジー・ジャクソン、ケン・グリフィーJr.と比較してもわずか4本差でしかないことをTwitter上で紹介し、注目を集めることとなったが、このなかで現役の選手はジャッジと大谷のみ。しかし、昨季は今季の大谷を上回る歴代3位の39本をマークするなど、本来であれば“最有力のライバル”であるはずの、アーロン・ジャッジが、目下49試合の出場に留まり、現在19本塁打。そのことを考慮すれば、ほぼこのまま、大谷が独走でシーズン最終盤を迎えると見て間違いないだろう。
さて、そんな大谷といえば、昨季までとは違い、ボールを片目でなく両目で捉える“両目使い”をしていることで、よりボールがよく見えるようになり、結果として、打撃の精度そのものが上がっていると見る向きも多く、たとえばMLBでのプレー経験のある川﨑宗則氏は、7月2日にABEMAで放送されたスポーツ番組『ABEMAスポーツタイム』で、こうした“両目使い”が、これまでイチロー氏や松井秀喜氏といった一流打者の多くが実践したものであるとした上で、「ボールを見極めることができている。見るだけじゃない。バッティングは見極めないといけない。これができている。」と、今季の大谷の打撃について称賛していた。なお、こうした“両目使い”の効果なのかは定かではないが、大谷の年度別本塁打数・本塁打の平均飛距離・本塁打の平均打球速度を見ていくと、今季は46本塁打を放った2021年度よりも2メートル近く飛距離が伸びており、打球速度も2021年に次ぐもの。また、打球の平均角度についても、“低すぎず、上がり過ぎず”という絶妙なものとなっていることに気づかされる。
実際、7月23日(日本時間24日)にエンゼル・スタジアム・オブ・アナハイムで行われたパイレーツ戦の1回に、大谷が放った36号本塁打の場合も、フルカウントからの7球目を仕留めた形となったが、大谷から被弾したパイレーツのミッチ・ケラーは、この打席でカットボール・チェンジアップ・カーブ・スライダーと4つの変化球を自在に使いながら、巧くボールを散らす配球で組み立てており、打たれた7球目、内角やや低めのカットボールも、「失投」であったかと言われれば、決してそうではなかった。だからこそ、大谷が一撃を放った際には、スタジアムもどよめきに近い声が巻き起こることとなったわけだが、失投ではなかった球を大谷が、センターへと叩き込む“驚弾”を放っていることを見れば、やはり今季の大谷は“ボールがよく見えている”状態であり、それにより、打撃にさらなる磨きがかかった状態であるといえるだろう。そうした意味でいえば、今季33号本塁打を放った際に、大谷の後方から見ていたチームメイトのテーラー・ウォードが語った「打球の後ろから煙が見えた。信じられない」という話も、もしかすると、さほど“盛った話”ではないのかもしれない。
ちなみに、本塁打の話ばかりが話題となりがちな大谷だが、前出の『ABEMAスポーツタイム』(7月23日放送)でも紹介されたように、今季、大谷は三塁打を既に7本を放っているが、こちらもリーグトップ。外野手が定位置よりも深めに守るケースが多く、本来であれば三塁打が出難い状況であるハズの大谷が、しかも、専業野手でさえ「非常に体力がいるんで、疲れる」(川﨑氏)という三塁打を、投手との二刀流でありながらこのようなペースで放ち続けている点はまさに驚くべきもの。やはりそもそもで規格外の存在であるといえるだろう。
(ABEMAスポーツタイム)
写真:Aflo