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 お笑いコンビ・空気階段が声優に初挑戦。映画『しん次元!クレヨンしんちゃん THE MOVIE 超能力大決戦 ~とべとべ手巻き寿司~』が8月4日(金)より公開される。監督は『モテキ』『バクマン。』などで知られる大根仁。制作期間はなんと7年。シリーズ初の3DCGアニメーション作品というまさに“しん次元”となった本作で、鈴木もぐらは国際エスパー調整委員会の顧問・池袋教授役を、水川かたまりは世界征服を目論む組織・令和てんぷく団を率いるヌスットラダマス2世を演じる。

 これまでも、定時制高校の生徒、中華料理屋の店主など個性的なキャラクターをコントで演じてきた彼らだが、どのように声の芝居と向き合ったのか。お気に入りのシーンや、エスパーになったらしたい意外なことなど、ざっくばらんに話を聞いてきた。

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もぐら、キャラクターの演じ方は「いつも歯の本数で決めている」

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――オファーが来た時はどのように感じましたか?

もぐら:「誰が騙されるか!」と、信じられなかったです。いや、嘘でしょという。どんな目に遭うんだろうと思いました。それから、台本とか届いて本当なんだと分かってからは、どうしようという気持ちに。こんな大きい作品に関わるというのはなかなかないので。なんとかしっかり頑張ろうと思いました。

――ドッキリだと思われたんですか。

もぐら:偽のオファーだろうと思いました。「クレヨンしんちゃん」ですからね。

かたまり:よくあるんですよ。スケジュールに「たまごクラブひよこクラブ」って書いてあってドッキリとか。

――声優初挑戦とのことですが、いかがでしたか。

もぐら:表現の難しさもそうですが、動きに合わせて言うという、基本的な難しさもありました。「あと0.5秒早くお願いします!」とか「もうちょっとゆっくり!」というところから難しかったです。それがプロの方なら、その速さの感覚とかも分かるんでしょうけど、こっちはトーシローですから。

――他のキャストの方とは実際に現場でお会いしたのでしょうか。

もぐら:それが現場でも、ネギコさん(鬼頭明里)に一度もお会いしてなくて。一番会いたかったんですけど、今日もスケジュールが合わなくて鬼頭さんが来れずで。お会いしたこともないのに掛け合いをずっとしていた。

かたまり:僕は非理谷充(松坂桃李)との掛け合いが多かったですから、松坂さんと一緒にてっきりやるもんだと思っていたら、松坂さんの声はすでに入ってて1人でやる感じだったので、今日初めてお会いしました。かっこよかったです。

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――大根監督から何か注文はありましたか。

もぐら:僕の方はなかったです。もぐらさんは自由にやってくださいと。声優さんではないと分かって僕を使ってくれていたので、信頼してやらせてもらいました。

――教授ということで、声から威厳が伝わりました。

もぐら:あんまり偉そうすぎても、硬すぎても違うのかなと思いました。歯の本数をちょっと減らした感じで演じてました。いつも歯の本数で決めているんです。コントでやる時はかなり(歯が)ないんですけど、今回はコントの時よりは全然多い。普段の僕よりは歯が少ない感じで。

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(もぐらが演じた池袋教授とネギコとしんのすけ)

――かたまりさんはいかがでしたか。

かたまり:僕はめちゃくちゃ難しかったです。監督とお会いしたときにも「かたまりさんには難しい声を出してもらうことになる」と言われました。(もぐらとは)入りが違いましたね。
監督の中でイメージがあったのだと思います。何十パターンも出しました。ちょっとしゃがれる感じでとか、ちょっと高くとか。調整してやっていたので、もう2度とあの声は出せないと思います。もしも続編があったら、1ヶ月は欲しいです。

もぐら:それで言うと、僕もこのとき、今より10キロ痩せているんです。なので、もうこの声は出ない。肉がついたから出ない。半年前に言ってもらわないとですね。

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(かたまりが演じたヌスットラダマス2世)

かたまり、野原一家の団欒妨害シーンに「すぐ拘束して警察突き出したほうがいい」

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――お二人から見てしんちゃんの魅力とは?

もぐら:僕は第一世代だと思うんですけど、「子どもに見せたくないアニメ1位」とか言われていた。「ぶりぶりざえもん」とか「ケツだけ星人」とか、リアルな5歳のおバカさが描かれているのが当時はすごく新鮮だった。「サザエさん」や「ドラえもん」、教育テレビには出てこない。すごく印象に残っています。

かたまり:子どものヒーロー。日本代表なのではないかと思います。

――かたまりさんはお母様が厳しかったということですが…。

かたまり:はい。それこそ子どもの頃にしんちゃんのマネして見せたら「全然似てないし、かわいくないからやめろ」って言われてました。

――(笑)そんなお母様には、今回の出演をお伝えしましたか?

かたまり:はい。喜んでました。しんちゃんに対する怒りというより、僕が似てないモノマネすることが許せなかったみたいなんで。

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――お互いの演技を見て、よかったと思うところは?

もぐら:「この国に未来などない!」っていうセリフですかね。あれはもう、結成当初から言っていたので。

かたまり:(笑)そんなこと言ってないですよ。

もぐら:「この国に未来などない!」「こんな未来のない国でどうお笑いをやろうか」ってずっと言っていたので、やっぱり年季入ってましたよね。

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かたまり:最初の野原一家の晩ごはんの家族団欒中に、池袋教授たちが勝手に入ってくるという奇行・蛮行が、すごく“らしいな”と思いました。

もぐら:しんちゃんのウチは家の鍵を閉めていないんですね。

かたまり:なぜピンポン押さないんだろうと。今思い出しても、意味わからなくてめっちゃ面白いです。ひろしとみさえも「なに勝手に入ってきてるんですか!」くらいの感じで言ってるけど、すぐ拘束して警察突き出したほうがいい(笑)。

――(笑)印象的なシーンなんですね。

もぐら:僕は運動会でパンが浮くシーンもお気に入りです。浮いてるパンを食べようとしている子どもたちの純粋さ。超能力の可愛さもあるし。

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――もしもエスパーになったら、やりたいことはありますか?

もぐら:瞬間移動したいです。新幹線に友達と乗っているときに、友達が乗っている席の窓の外に移動したいです。「え!?」ってなったら、また座席に戻って。

かたまり:僕は念動力です。友達と新幹線に乗っているときに、友達が食べているポテトチップスとかをフワッと浮かせてもどしたりしたいです。

――お二人とも新幹線で友達を驚かせたいんですね(笑)。もしまた声優するのであれば、どんなキャラクターを演じたいですか?

もぐら:幽☆遊☆白書」の戸愚呂兄。蔵馬。巻原。海藤も。蔵馬が戸愚呂兄に言った「お前は死すら値しない」、言いたいですね。

――その場合、歯の本数はどうしますか?

もぐら:蔵馬は“全生え”。今の僕が全生えじゃないので、インプラントしないといけない。

――「幽☆遊☆白書」に強い思い入れがあるんですね。

もぐら:はい。樹とかもかっこいいですね。あと、「HUNTER×HUNTER」もいいですね。
イルミが変身する前のギタラクルとかゾルディック家の門番の爺さん。あと、何役でもいいので、グリードアイランドのレイザー戦に参加したいです。あそこすごいワクワクするんですよね!

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かたまり:僕はドラゴンボールの悟空。

もぐら:野沢先生の!?

かたまり:悟空をやって、どれだけ批判がくるのか体感してみたい。野沢先生のイメージがあれだけついていて、僕に代わったらどれだけ批判がくるのか。とんでもないでしょうね。賛否両論巻き起こらないと思います。全員否。

制作期間は7年 もぐら「あの頃からまさか作られていたのか!」

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――3DCGについてはどのように感じましたか?

もぐら:しんちゃんが可愛くて。まるぷに、たまりませんな。より触りたい気持ちになる。あと、超能力シーンは大迫力ですね。スクリーンで見てほしいです。
7年かかってるんですよ。7年前といったら、夜中まで働いてそこから歌舞伎町のバーで朝まで働いて、酒飲んで。ろくでもない生活をしていてので…あの頃からまさか作られていたのか!と。すごいなと思いました。

かたまり:本当にすごい労力だと思います。もうしんちゃんってずっと3DCGだったんではないかと思わせてくれる出来栄えですよね。3DCGであることで、アクションもすごいことになってます。自信を持ってお薦めできます。

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――最後に見どころと観客の皆様へのメッセージをお願いします。

もぐら:やっぱりケツだけ星人。あの動きを見てもらいたい。
あと、人と人との繋がりです。それが家族だろうと友人だろうと、大切な人が1人でもいたらいい。そう思わせてくれる映画です。
素晴らしい映画だと思うので、チケットのほかに、5000円分くらいは何かグッズを買っていただいて。財布に1万円くらい入れて来ていただきたいです。

かたまり:誰が見ても面白いです。老若男女誰が見ても楽しめる映画になっていますので安心して見に来て欲しいです。
僕個人としては、「この国に未来などない!」で流行語大賞取りたいと思います。

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ストーリー

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ノストラダムスの隣町に住むヌスットラダマスはある予言を残していた。

「20と23が並ぶ年に天から二つの光が降るであろう。一つは暗黒の光、もう一つは小さな白い光…やがて暗黒の光は強大な力を持ち、平和をごっつ乱し、世界にめっちゃ混乱を招くことになるんやでえ」

そして2023年、宇宙から二つの光が接近。夕飯を待ちわびるしんのすけに白い光が命中する。体にみなぎる不思議なパワー。「お尻が…お尻がアツいゾ…」力を込めるとおもちゃがフワフワと宙に浮いた!エスパーしんのすけ誕生の瞬間である。

一方、黒い光を浴び、暗黒のエスパーとなった男の名は非ひ理り谷や 充みつる。バイトは上手くいかず、推しのアイドルは結婚、さらには暴行犯に間違われ警察に追われていた彼は、力を手に入れたことでこの世界への復讐を誓う。

(c)臼井儀人/しん次元クレヨンしんちゃん製作委員会

写真:mayuko yamaguchi
取材・文:堤茜子

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