25日、岸田総理はいわゆる“サラリーマン増税”について「全く考えていない」と否定したが、ネット上では「白々しい」などの声も挙がっている。
発端となったのは先月30日、政府の税制調査会がまとめた今後の税制に対する答申だった。そこで指摘されたのが、サラリーマンの優遇。答申では「他の主要国に比べ給与所得控除が手厚い」とし、退職金への課税が優遇される制度や、通勤手当に対する課税を見直すことなどが盛り込まれていた。
これに対し「インボイスみたいに控除や非課税制度の廃止は増税ではないと言い出しそう」「総理が否定しても財務省が増税を押し通すでしょう」という怒りのツイートが。
サラリーマン狙い撃ちの増税は本当に実現されてしまうのか。『ABEMA Prime』では、元総務官僚で国会議員の政策秘書も経験した政策コンサルタントの室伏謙一氏に話を聞いた。
政府の一連の動きについて室伏氏は「答申はあくまでも方向性を出しただけだ。とはいえ、この内閣府に置かれた政府税制調査会は実質的に財務省が動かしている。この答申によってお墨付きを与えて、8月末までに各省が税制改正要望を財務省に提出し、最終的には非常に大きな力を持っている自民党の税制調査会が具体化していく。非常に姑息な手段ではあるが、おおむね増税の方向性は決まっていると考えていいだろう」と述べた。
岸田総理と宮沢税調会長が「サラリーマン増税は考えていない」と明言したことについて室伏氏は「おそらくこれは、『いわゆるサラリーマン増税というものは考えていない』という意味だろう。サラリーマン増税という言葉に正確な定義はないわけだから、いくらでも彼らが定義できるわけだ。だから、『考えていることは考えている』のだろう」との見方を示した。
支持率も下がるなか「サラリーマン増税の印象を出さない方が得策」という議論になるのか。室伏氏は「それはあると思う」と認めながらも「サラリーマンに向けてという印象をなくしながら、まずは批判が少なそうなところだけ“しれっと”やろうと。試しながら少しずつ実現していく。その中で、国会に提出する『なんとか法等』の『等』の中に様々な要素を入れてしまうなどの方法が使われる可能性もある」と答えた。
今後の動きについて室伏氏は「仮に今言われているように秋に解散総選挙になったとすると、増税を決めるタイミングは12月だ。選挙を先にやってしまい、信任を得たという名目のもと、一気に増税に突き進むことが十分考えられる」と推測した。
(『ABEMA Prime』より)
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